香港メディアの大公網は7日、中国が実効支配しているパラセル諸島(西沙諸島)で大規模な埋め立て工事に着手したと報じた。7つの島または岩礁を地続きにする計画という。パラセル諸島についてはベトナムも領有権を主張し、中国と対立している。(写真は大公網の7日付報道の画面キャプチャー)

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 香港メディアの大公網は7日、中国が実効支配しているパラセル諸島(西沙諸島)で大規模な埋め立て工事に着手したと報じた。7つの島または岩礁を地続きにする計画という。パラセル諸島についてはベトナムも領有権を主張し、中国と対立している。

 中国は現在までに、西沙諸島最大の永興島を埋め立てなどでさらに拡張し、飛行場も建設した。現在、埋め立てを進めている場所は「七連嶼」と呼ばれる、永興島の北側約10キロメートルの位置にある、7つの島/岩礁だ。

 七連嶼における、自然に形成された陸地部部の面積は1.32平方キロメートルだが、埋め立てにより15平方キロメートルと、10倍以上の大きさになると見られている。新たに形成された人工島にも飛行場を設け、永興島とは橋で結ぶ計画という。

 中国は、領有権を巡りベトナムやフィリピンと対立する南シナ海のスプラトリー諸島(南沙諸島)、西沙諸島、スカボロー礁(中沙・スカボロー礁)を管轄する三沙市を、2012年に成立させた。

 三沙市が実質的に管轄しているのは西沙諸島だけだが、三沙市国土資源環境保護局は2月19日、埋め立て現場に調査チームを派遣したという。

 三沙市トップである中国共産党同市委員会の蕭傑書記(市長兼任)は6日、北京市内で、西沙諸島で観光開発に力を入れると述べた。西沙諸島は過去2年間に船舶を利用して2万人が訪れたという実績があるが、将来は同諸島への船便を少しずつ「常態化」させ、観光ルートも増やすという。

 大公網は中国メディアを引用して、七連嶼は白い沙とサンゴが砕けた石からなる荒れ果てた砂州だった。三沙市は成立以来、緑化の作業を続け、「砂州」を「緑州」に変えたと評した。

 大公網を運営する大公報は清朝末期に天津で創刊された、最も長い歴史を持つ華字新聞。各地で発行していたが、中華人民共和国が発足すると事業所は次第に整理され、英国統治下にあった香港を除けば、北京でだけ発行されるようになった。文化大革命が始まった1966年には北京本社は紅衛兵に襲撃され、大陸部における歴史を閉じた。

 香港では発行が現在まで続いている。香港・大公報は英国統治時代から左派的な論調で、現在は中国政府寄りとされている。(編集担当:如月隼人)(写真は大公網の7日付報道の画面キャプチャー)