【第88回選抜大会】21世紀枠 各地区候補 紹介!宇治山田(三重)
東海地区では宇治山田が選出。第1回全国中等学校優勝野球大会の出場校でもある宇治山田は現在、どんな活動を行っているのか、選考状況などを詳しく振り返っていきたい。
学校紹介宇治山田高校の特色を紹介
三重県立宇治山田高等学校は、1899年創立の旧制三重四中を前身とする伝統校であり、全校生徒及び硬式野球部もほぼ全員が大学進学希望である。少子高齢化・過疎化の進む県南勢地区においては、進学面での地域から同校への信頼と期待は大きい。学校全体では毎年約60名が国公立大学に、また難関私立大学には約20名が合格している。
野球部の選手とマネージャーの過去3年間の進学状況は、昨年11名、一昨年は13名、3年前は14名全員が四年制大学に進学している。地域の状況を反映し、同校も今年1学年7クラスから6クラスへのクラス減であったが、進学状況とともに、今秋の同校野球部の躍進は同校生徒並びに地域社会に明るい希望を与えている。
進学校であるが故、同校の規定で下校は19時までに完了となっている。週に3日ある7限授業の日は授業終了が16時であるため、野球部はウォーミングアップを個人で行い、トスバッティングや個人ノックといった個人練習を中心にしている。また、住宅街の中に立地しており、グラウンドが狭い上に陸上部・サッカー部・軟式野球部と併用である。そのため創意工夫して練習している。
例えば、内野(二遊間)後方に陸上部の走路があるため、毎日の練習は内野の範囲内で行っている。練習中に陸上部の選手が走ってくる時は、安全確保のために練習を中断し、バッティング練習中であればバント練習に変える。放課後充分できない外野ノックは、朝の始業前に行っている。放課後のグラウンドを広く使う場合は、各部の主将が使う時間を話し合って調整した後、交代でグラウンドを使っている。そのため、練習内容も主将を中心に選手間で話し合い決めている。
また金属音が響かないように、バッティング練習を木製バットで行うなど近隣への配慮も行っている。このような環境のため、練習試合は全て他校へ出かけての試合である。このように、時間と場所の制約、周囲への配慮をしながら、一人一人の練習への取り組み方に工夫をして力をつけてきた。
今年度は140キロの速球と切れの良いスライダーを持つ右投げの石川と、緩急とスライダーが武器である左投げの小原の二投手を擁し、県下の強豪校と互角に戦える力をつけた。特に秋季県大会準々決勝では、県大会準優勝、東海大会ベスト4の三重高校に4対5で惜敗するなど、全国レベルの対戦相手に匹敵する実力を示した。
同校は第1回全国中等学校優勝野球大会出場の10校のうちの1校である。「高校野球100年」にあたる2015年の第97回全国高等学校野球選手権大会で、前チームの主将が復刻版ユニフォームで開会式で行進した。このことにより後輩達が、同校の歴史に誇りを持って、なお一層意欲的に練習に取り組み、他のチームの模範となった。101年ぶりの甲子園出場を、同窓生2万5千人が待ち望んでいる。
地区選考状況東海地区役員会で各県の21世紀枠推薦校の推薦内容が説明され、諸条件の審議および意見交換をした結果、県立宇治山田高等学校が満場一致で選出された。全校生徒が文武両道の精神を徹底しており地域からの信頼と期待が大きい点。また時間や練習場所の制約がある中で周囲に働きかけ、工夫しながら練習を積み重ねた結果、全国レベルの強豪と互角に戦った点が評価された。
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