15日、フィギュアスケートのグランプリファイナルで3連覇を達成した羽生結弦が帰国。自らが持つ世界歴代最高得点を上回る330.43点を叩き出した王者の姿を見ようと、空港には300人を超えるファンが集まった。

すると、同日放送、テレビ朝日「報道ステーション」には帰国後の羽生が生出演。自身が抱いていたプレッシャーや恐怖心について本音を語った。

まずは古舘伊知郎氏から「プーさんっていうのは平常心のために(試合でそばに置いている)?」と訊かれた羽生は、「理由をつけるとそういうことになります」と切り出すと「ただ毎回平常心のためかというとそうではなくて、ジンクスみたいな感じ」と続けた。

また、空港に集まったファンに対しては「どう反応したらいいのか分からない」としながらも、「皆さん、せっかく来て下さっている。皆さん一人一人に声かけたいですし握手もしたいなとかサインを書いてあげたいと思うんですけど、一人やってしまうと“なんで私は?”ってなってしまうと思うので」と優しい気遣いを見せた。

ここで話題は、羽生が一部のファンやメディアから「神様」や「絶対王者」と呼ばれていることについて――。

「神様」という言葉には「自分では受け止め切れないですね。その言葉にはまだまだ全然相応しくない」と謙遜した羽生だが、「絶対王者」と呼ばれることについては本音を垣間見せた。

「これから先、自分が演技するにあたって、ショートプログラムで100点。フリープログラムで200点。総合300点。この点数が大体自分の出来のボーダーラインになってきてしまうと思うんですよね。これからもし300点を超えなかった場合、次は何て言われてしまうんだろうという恐怖感もあったり、また自分の演技に対しての自信がなくなってしまうところもある」。

300点超えが当たり前とされるであろう今後に対して、「恐怖」という言葉を用いて不安を吐露した羽生。古舘氏がマスコミの手のひらを翻すような報道について尋ねると、「ソチ五輪で金メダルを獲らせて頂いたあと、昨シーズンはケガとか事故もあり、なかなかうまく成績が取れなかった。最初に成績が取れなかった時ほど大きく取り上げられるんですよね。その後にサッといなくなる感じが虚しい」と苦笑いも――。

それでも、「安心するところもあったりする。練習に打ち込めるというのもあるんですけど、もっと頑張らなくてはいけないな」と前向きに捉えた羽生は、試合に向かうプレッシャーにも「GPファイナルまでは怖さとどう向き合っていくかを考えていたんですけど、今回の大会が終わってみて感じたことは、怖さとワクワクであったりポジティブな感情は両立してもいいんだと。その上でバランスを取りながら演技をしていけば」と落ち着いた口調で話した。

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