羽生結弦が世界最高得点 その裏で起きていたフィギュアファンの悲劇

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先月28日に行なわれたフィギュアスケートGPシリーズNHK杯。羽生結弦さんが300点を超える歴史的な世界最高得点で優勝をはたした裏で、大きな悲劇が起きていました。

そもそもこの日は、NHK杯フィギュアと同時間帯にサッカー・Jリーグのチャンピオンシップ準決勝が行なわれていました。NHK総合では先に始まったサッカーを中継しつつ、NHK杯の放送を開始した16時からはメインチャンネルとサブチャンネルに分波して、両競技を平行して中継。フィギュアをメインチャンネルで、サッカーをサブチャンネルで放送したのです。

その時点で若干の画質低下が起きるなど、映像にこだわるフィギュアファンからはわずかに不満の声もあがります。ただ、もっと大きな問題が起きたのはこのあとでした。それはサッカー中継が終わり、分波を終了するタイミングでのこと。

中継では男子シングルの前半グループ、カナダのバルデ選手が演技中でした。バルデ選手が演技を終えたのを見計らって、NHKは分波中継を終了。「このあと映像が乱れる場合があります ご了承ください」という字幕を表示し、放送を切り替えます。

すると、分波を終了したタイミングで、何故か各地のご家庭のハードディスクレコーダーが録画を停止してしまったのです。ツイッターなどでは「録画が止まった」という報告が相次ぎ阿鼻叫喚に。筆者の自宅のレコーダーも録画が停止してしまい、慌てて手動で録画を開始することとなりました。

「録画再開したならいいじゃないか」とお思いかもしれませんが、それは自宅にいるからできたこと。この日の演技を誰よりも楽しみにし、楽しみすぎて現地に行ったファンたちは、現地にいるので「手動で録画再開」などできるはずもありません。厳しいチケット争奪戦を勝ち抜き、オークションでは高額で取り引きされたプラチナチケットを持つ一番熱量の高いファンの自宅で、最大の悲劇「神演技を録画できてない」は起きているはずなのです。

歴史的な世界最高得点の演技。現地観戦の喜びを胸に、永久保存版の映像を見返そうとして「途中で切れてる」と気づいたファンたちの叫び。全国から集ったファンたちが、その悲劇に気づくのは翌29日以降となるはず。CMもないし、生中継だし、という安心感でNHKを録画して出掛けたコアファンを襲う悪夢。

どうぞSNS等で「録画 止まってた」などを検索し、見守ってあげてください。「NHK杯フィギュアをNHKが中継するのは当然なのだから、サッカーを民放でやることはできなかったのか?」「もう少し早い時間からサッカーを始めることはできなかったのか?」「結局サブチャンネルに飛ばされるならサッカーにとっても損」「日曜にやれ」などのサッカーに対する恨み節とともに。

Jリーグ側にも来季以降は日程や中継局の再考をうながしたいところ。ほかのコンテンツならともかく、「NHK杯の日」にNHKで大々的に中継してもらうのは、無理筋というものなのですから。

(文=フモフモ編集長 http://blog.livedoor.jp/vitaminw/)