1次ラウンドから6戦全勝と好調の侍ジャパン【写真:編集部】

写真拡大

韓国戦の先発は小久保監督が絶大な信頼を寄せる大谷

 世界野球「プレミア12」に出場している侍ジャパン日本代表は、19日に韓国との準決勝(19時開始)に臨む。台湾・桃園で行われた準々決勝は、エース前田健太の好投もあってプエルトリコに9−3で快勝。1次ラウンド(R)から6戦全勝と好調の侍ジャパンは、舞台を日本に移して行われる準決勝、決勝をどのように戦っていくのか。

 まず、準決勝の先発は大谷になることが、すでに発表されている。小久保監督は「負けられない試合が始まり、今のメンバーの中で(準々決勝で先発した)前田、大谷というのが順番だった。今年の成績を見れば(準決勝先発は)誰もが納得するのが大谷」と説明。開幕戦と同じ相手に、二刀流右腕をぶつけることになった。

 実は、当初は1次R最終戦で大谷を先発させるプランもあったという。どうしても勝たなくてはいけない状況になった場合、二刀流右腕を投入し、準々決勝進出を決めようという狙いだった。ただ、1次Rは接戦もありながら全勝で突破。準決勝先発は「これで(1次ラウンド突破は)大丈夫となったところで(本人に)伝えた」と指揮官は明かす。前田と同じように、大谷に絶大な信頼を寄せていることが分かる。

 指揮官は韓国戦に向けて「前回のようなピッチングをしてくれれば1番いい」と言いつつ「相手も試合をやって調子を上げているし、(大谷の)データも入っていると思う」と警戒する。

鍵になる則本の起用法は?

 大谷自身も「1回目の対戦はピッチャーが有利だけど、2回目になると違う。そこで色々と考えていければ」と明かし、女房役の嶋は「(韓国は)対策を練ってくると思う。どう対応してくるかバッテリーで見て、それにしっかり対応していきたい」と話した。

 仮に大谷が開幕戦ほどの投球を出来なくても、心強いリリーフが控える。準々決勝のプエルトリコ戦後、小久保監督は2番手で1イニングを完璧に抑えた則本について、こう明かしている。

「本当は3イニングくらいでも、と思っていたんですけど、たまたまああいう展開(大差)になったので。でも、投げさせることは伝えていたので、点差が空いても投げさせましたけど、1イニングで済んだ分、韓国戦もいける」

 準決勝を勝ち進んだ場合、則本を決勝で先発させるというプランも考えられたが、あくまでリリーフエースとしてブルペンに置いておく考え。ここまでは、救援として抜群の働きを見せており、妥当な策といえるかもしれない。どんな状況でもマウンドに上がり、相手をねじ伏せるピッチングが出来る右腕の存在は心強い限りだ。

 また、準々決勝は7回90球で降板した前田も、中4日で決勝での先発が可能だが、これについても小久保監督は否定する。プエルトリコ戦の試合終了直後、エースの起用についてこう説明している。

「(前田は)準々決勝の先発を約1か月前くらいに伝えていて、その間ここに合わせてきていた。それを考えると、この先もというのはちょっと酷かなという気もします。決勝は違う投手でいこうかと」

前田は決勝でブルペン待機に?

 決勝の先発は菅野が予定されている。巨人のエースは、一部の投手のみで行われた17日の練習にも調整のために参加。14日の米国戦では4回5安打2失点と決していい内容ではなかったが、大谷と同じように、準決勝でメキシコを下して勝ち上がってくるであろう同じ相手に、決勝で再び投げる可能性が高そうだ。

 菅野は「(もし米国が相手となれば)それなりに向こうも対策してくると思う。でも、自分も対戦のイメージがあるので、五分五分だと思う」と自信をのぞかせた。

 準決勝と同じように、決勝でも先発の後ろには則本が控える。さらに、前田もブルペンで待機することになる。菅野は初回から飛ばして、後ろのピッチャーに託すことが出来る。

 抑えの松井が15日のベネズエラ戦でセーブに失敗し、16日のプエルトリコ戦では9点リードの9回に登板した増井が3ランを浴びるなど、試合終盤を任せるピッチャーにはやや不安も残る。ただ、まずは大谷、菅野、そして則本の投球が、初代王者に輝くために大きな鍵となりそうだ。

清水友博●文 text by Tomohiro Shimizu