サムスンが「お膝元」の韓国でも苦戦している?(画像はイメージ)

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韓国のスマートフォン市場に異変が起きている。サムスン電子のシェアが急落しているようなのだ。

「Galaxy」シリーズの大ヒットでサムスンはここ数年、高級スマホ市場で米アップルを抑えて快走を続けてきた。しかし先行きは厳しく、「お膝元」の韓国でもいよいよ窮地に追い込まれてきた。

中国勢、世界シェアで急伸

米調査会社のIDCが2015年10月28日に発表した15年第3四半期(7〜9月)の世界スマートフォン出荷台数によると、全世界での出荷台数は3億5520万台で、前年同期に比べ6.8%増えた。

メーカー別でみると、韓国サムスン電子が前年同期比6.1%増の8450万台と市場シェアで首位をキープ。ただ、シェアは23.8%と前年同期よりも0.1ポイント下がった。

一方、シェアを高めたのが米アップル。9月に発売された新機種「iPhone 6s」と「iPhone 6s Plus」の発売3日間の販売台数が1300万台に達するなど好調で、7〜9月の出荷台数は4800万台、前年同期比で22.2%と大幅に増えた。シェアも前年同期よりも1.7ポイント高い13.5%に達した。

これを猛追するのが、中国のファーウェイ。世界販売台数は2650万台。シェアは前年同期から2.5ポイント上がり、7.5%に達した。中国のシャオミを抜き、シェア3位に返り咲いた。

4位はレノボでシェアは5.3%、世界販売台数は1880万台。5位のシャオミは5.2%、1830万台で、3〜5位は中国勢が占めた。合計の6360万台は、アップルを抜いてサムスンに迫るほどだ。

米アップルや中国勢がシェアを伸ばすなか、世界のスマートフォン市場でサムスン電子だけが置き去りにされた格好だ。

背景にあるのは、低価格を「売りモノ」にした中国ブランドの存在とみられる。たとえば、香港の調査会社Counterpoint Researchの「Monthly Market Pulse」によると、中国におけるiPhoneの2015年9月の売り上げ台数は、初めて700万台を突破。9月としては初めてシェアで首位に立った。後押ししたのは同月に発売された「iPhone 6s」と「6s Plus」だ。

「スマホ大国」ともいわれる中国市場では現在、現地のファーウェイとシャオミ、米アップルが熾烈なシェア争いを繰り広げている。15年4〜6期に首位だったのはシャオミ、7〜9月期はファーウェイだった。その一方で、サムスンは7月以降大きくシェアを落としており、上位3社との差はますます広がっていると指摘している。

すでに1年前からシェア縮小が・・・

前出の香港の調査会社Counterpoint Researchによると、米アップルは最大のライバル、サムスンの本拠地・韓国で大きくシェアを伸ばして追い上げているという。すでに1年前、2014年9月の「iPhone 6」と「6 Plus」発売前の韓国でのアップルの市場シェアは15%。それが発売後の14年11月には一気に33%に上昇。シェア2位だったLG電子を逆転した。

その一方で、アップルの「iPhone 6」「6 Plus」の発売前には60%近いシェアを有していたサムスンは46%にシェアを落とし、40ポイント以上あったアップルとサムスンの差が13ポイントにまで縮小した。

2015年9月の「iPhone 6」「6 Plus」の発売以降、日本をはじめ、中国や韓国でアップルの躍進は目立っている。この差がさらに縮んでいる可能性はあるかもしれない。

ある調査会社は、「韓国に限らない」としたうえで、こう指摘する。「スマホ市場はほぼ飽和状態にあり、その中でサムスンのハイエンド機種が支持を得にくくなっているとみられます。格安スマホで売る中国ブランドは、サムスンと同じOS(基本ソフト)のアンドロイドを使っていますから、SIMフリー版が広がれば、(サムスンのシェアが)より落ちると考えられます」という。