どうなる世界同時株安、通貨安?外為オンライン佐藤正和氏
今年もまた8月相場は荒れに荒れたが、その影響は9月相場に入ってもなお続いている。中国株の行方も気になるところだが、米国の政策金利引き上げが9月にあるのかどうかも注目されている。中国株や新興国通貨、そして米国金利の行方がどうなるのか。外為オンライン・シニアアナリストの佐藤正和さんに9月相場がどんな展開になるのか、その行方を伺った。
――8月の世界同時株安、通貨安の原因は何だとお考えでしょうか?
毎年荒れる月として知られる8月は、今年も大荒れに荒れてしまいました。直接のきっかけは、中国人民元の切り下げとも言われていますが、中国経済が原因にひとつであることは間違いないと思います。
特に株安の原因のひとつとなったのは、英国の調査会社マークイットが発表した「財新PMI(中国購買担当者指数)」が、47.1(8月速報値、確定値は47.3)と6年5か月ぶりの低水準だったことです。信頼できる数少ない統計が大幅に悪化したこともあって、中国株が大きく下落。中国株下落が止まらなくなり、連日5%以上の下げを記録している中で、世界同時株安の決定打となったのがニューヨークダウの大幅下落でした。
下げ幅としてはリーマンショックを上回るような1000ドル超の下落幅を記録。日本株の日経平均株価も、900円を超える大幅安になりました。この背景には、9月にも予想されている米国の金利上昇があります。金融引き締めへの方向転換はすでに秒読みと言われていたために、予想を大きく上回る米国株安の影響を受けて為替市場も大きく乱高下。瞬間的にではありましたが、1ドル=116円台をつけてしまいました。
――9月に入ってからも株は軟調ですが、9月はどんな展開になりそうでしょうか?
カギを握っているのはやはり中国株と米国の金利引上げです。中国のGDP伸び率は、第一四半期、第2四半期共に7%と発表されていますが、そのまま信じる市場関係者は少なく、中国国内の専門家からも本当は5%だという発言まで出ています。今後、中国政府がどんな景気対策をしてくるのか、そして人民元がどう動いてくるのかは不明ですが、中国株の動きが世界の為替市場や株式市場に大きな影響を及ぼしてくるのは間違いないと思います。
また、米国の金利引上げ時期も大きなインパクトがあります。私は、今回の世界同時株安で9月の金利引上げの可能性はかなり少なくなったのではないかと思っていますが、米ジャクソンホールで開催されている経済シンポジウムでフィッシャーFRB副議長が「インフレ率が目標の2%に到達するのを待たずに、引き締めを開始すべき」と発言し、注目されています。
米国の統計はこのところ順調に推移しており、9月16日-17日に開催される「FOMC(連邦公開市場委員会)」でどんな結論が出るのか、またイエレン議長が記者会見でどんなコメントを出すのかが注目されるところです。
また、その前に発表される5日の米雇用統計の結果も気になるところです。ここでまた良好な結果が出れば、金利引上げの時期が早まるかもしれません。むろん、米国株や中国株にも影響を及ぼすはずです。
――やはり気になるのは米国の金利引上げ時期ですが、9月はあるのでしょうか?
仮に今回の雇用統計が良くても、9月利上げの可能性は少ないと市場関係者の多くは見ています。9月に入って以降の株価も軟調であり、為替市場も変動幅の大きな相場になっており、市場が落ち着くにはもう少し時間がかかるのではないでしょうか。
為替相場が大きく動く要因として、残りの可能性は日銀の動向ですが、黒田日銀総裁は米国の講演で、依然として強気の発言を繰り返しており、こちらも追加緩和の可能性は少ないと思います。ドル円が115円を割り込む、もしくは日経平均株価が1万5000円台にまで下落するような事態になると状況は変わってくるかもしれません。とは言え、そこまでの大きなボラティリティの可能性は少ないと思います。
――8月の世界同時株安、通貨安の原因は何だとお考えでしょうか?
特に株安の原因のひとつとなったのは、英国の調査会社マークイットが発表した「財新PMI(中国購買担当者指数)」が、47.1(8月速報値、確定値は47.3)と6年5か月ぶりの低水準だったことです。信頼できる数少ない統計が大幅に悪化したこともあって、中国株が大きく下落。中国株下落が止まらなくなり、連日5%以上の下げを記録している中で、世界同時株安の決定打となったのがニューヨークダウの大幅下落でした。
下げ幅としてはリーマンショックを上回るような1000ドル超の下落幅を記録。日本株の日経平均株価も、900円を超える大幅安になりました。この背景には、9月にも予想されている米国の金利上昇があります。金融引き締めへの方向転換はすでに秒読みと言われていたために、予想を大きく上回る米国株安の影響を受けて為替市場も大きく乱高下。瞬間的にではありましたが、1ドル=116円台をつけてしまいました。
――9月に入ってからも株は軟調ですが、9月はどんな展開になりそうでしょうか?
カギを握っているのはやはり中国株と米国の金利引上げです。中国のGDP伸び率は、第一四半期、第2四半期共に7%と発表されていますが、そのまま信じる市場関係者は少なく、中国国内の専門家からも本当は5%だという発言まで出ています。今後、中国政府がどんな景気対策をしてくるのか、そして人民元がどう動いてくるのかは不明ですが、中国株の動きが世界の為替市場や株式市場に大きな影響を及ぼしてくるのは間違いないと思います。
また、米国の金利引上げ時期も大きなインパクトがあります。私は、今回の世界同時株安で9月の金利引上げの可能性はかなり少なくなったのではないかと思っていますが、米ジャクソンホールで開催されている経済シンポジウムでフィッシャーFRB副議長が「インフレ率が目標の2%に到達するのを待たずに、引き締めを開始すべき」と発言し、注目されています。
米国の統計はこのところ順調に推移しており、9月16日-17日に開催される「FOMC(連邦公開市場委員会)」でどんな結論が出るのか、またイエレン議長が記者会見でどんなコメントを出すのかが注目されるところです。
また、その前に発表される5日の米雇用統計の結果も気になるところです。ここでまた良好な結果が出れば、金利引上げの時期が早まるかもしれません。むろん、米国株や中国株にも影響を及ぼすはずです。
――やはり気になるのは米国の金利引上げ時期ですが、9月はあるのでしょうか?
仮に今回の雇用統計が良くても、9月利上げの可能性は少ないと市場関係者の多くは見ています。9月に入って以降の株価も軟調であり、為替市場も変動幅の大きな相場になっており、市場が落ち着くにはもう少し時間がかかるのではないでしょうか。
為替相場が大きく動く要因として、残りの可能性は日銀の動向ですが、黒田日銀総裁は米国の講演で、依然として強気の発言を繰り返しており、こちらも追加緩和の可能性は少ないと思います。ドル円が115円を割り込む、もしくは日経平均株価が1万5000円台にまで下落するような事態になると状況は変わってくるかもしれません。とは言え、そこまでの大きなボラティリティの可能性は少ないと思います。