中国メディアの環球網は28日、北京大学国家発展研究院院長の姚洋氏の手記を掲載し、世界で一時株価が急落したことに対し、「中国経済を理由に世界の金融市場が一時動揺したこと無視することはできない」と指摘、中国経済はかつての日本と同じ道を辿ることを避けられるのかと疑問を投げかけた。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国メディアの環球網は28日、北京大学国家発展研究院院長の姚洋氏の手記を掲載し、世界で一時株価が急落したことに対し、「中国経済を理由に世界の金融市場が一時動揺したこと無視することはできない」と指摘、中国経済はかつての日本と同じ道を辿ることを避けられるのかと疑問を投げかけた。

 記事は、世界の金融市場が動揺した背景には、中国国外で「中国経済はかつての日本と同じ道を辿ることになるのか」という疑問が生じていたとし、高度成長期を終えた日本経済がバブル崩壊後に22年間にわたって経済が停滞していることを指摘した。

 続けて、日本は豊富かつ廉価な労働力を背景とし、輸出によって高度成長を実現したとし、世界における日本製品に対する需要が減少し、人件費が上昇すると経済成長が大幅に低下すると同時に物価も下落したと論じた。さらに、こうした事例は、高度成長を遂げた国ならば日本以外の国でも起きていると伝えた。

 さらに、中国のこれまでの発展モデルは日本が成長してきた道と似ていると指摘する一方、中国の高齢化は日本よりも急速に進んでいると伝え、1973年の石油危機は日本経済にとっての1つの転機となったと指摘。また、今回の世界的な金融市場の動揺や危機は73年の石油危機の影響を超える恐れがあるとし、そのため中国が日本と同じ道を辿るのではないかと懸念が高まったと論じた。

 また記事は、中国は一人っ子政策として知られる計画生育政策(人口規制政策)を緩和することで人口を増やし、教育で労働力の質を向上させることもできると指摘。定年退職の年齢を引き上げれば生産年齢人口の減少も食い止められるとしながらも、「日本でも教育水準はずっと向上してきたうえ、科学技術の革新も行われてきた」とし、それでも日本は経済成長の鈍化を食い止められなかったと指摘、「中国も教育水準の向上や技術革新によって経済成長を続けられると過信してはならない」と論じた。

 一方で、中国には日本にはない強みがあるとし、それは「人口の多さと広い国土だ」と伝え、中国は国土が広すぎるために発展の規模が地方によって大きく異なり、まだまだ成長の余地が残されていると主張。上海などの沿海部の成長が鈍化したとしても、内陸部の成長を刺激することで、中国は今後も国内総生産(GDP)成長率で7%前後を維持できるはずだと主張した。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)