『モンストフェス』で11人救急搬送の件、「心肺停止はなかった」とミクシィが否定
厳しい猛暑のなか8月2日に千葉・幕張メッセで開催されたスマホゲームのイベント『モンストフェスティバル2015』で、来場者80人以上が体調不良を訴え、11人が熱中症と見られる症状で救急搬送される事態が発生しました。全員が軽症で、重症者は出ていないとのこと。「モンスト」とはミクシィ社のiOS/Androidゲーム『モンスターストライク』の略称。その大人気を反映して、会場の収容人数を大きく上回る来場者が訪れた結果、炎天下の野外で海浜幕張駅から会場まで続く(徒歩10分)長蛇の列。延々と並んだものの入場できなかった人々が体調不良を訴え、複数の救急車が登場することになりました。開催したミクシィ社も認めているのが、来場者数の見込みの甘さと運営の未熟さ。実際に来場した人達からも、大行列を整理するための柵が十分設けられていなかったことや、列への横入り、何重にも曲がりくねった行列を迂回して入口に直行したルール違反者も報告されています。これほどの来場者が訪れた理由は、参加者限定のシリアルコードが配布されたから。「御祭将軍 徳川慶喜」「祭女皇 クィーンバタフライ」「灼夏の巨人 スルト」「祭君主 ネロ」「暗黒祭龍 ニーズヘッグ」などモンフェス(イベントの略称)限定デザインのキャラクター5体のうち一つ+ゲーム内通貨のオーブが入手できる内容でした。ミクシィ社からは今回のお詫びとして、プレイヤー全員にオーブ10個と★5キャラが排出される無料ガチャイベントが告知されています。結局、会場に行かなかった人達が棚ボタ式に得をしたことに、複雑な感情が渦巻いている模様です。今や人気ゲームとイベントでの限定アイテムの配布は切っても切れないワンセット。東京ゲームショウ2007でも『妖怪ウォッチ』のレベルファイブが『レイトン教授』と『イナズマイレブン』シリーズの体験版を配布したところ大混乱をきたし、運営判断で配布を中止する事件がありましたが、イベントが本業ではないゲーム会社にとっては頭の痛いところです。モンフェスが普通なら"混乱"で済むはずが救急車が出動する騒ぎとなった背景には、都市部の気温が上がるヒートアイランド現象、今年の猛暑が背景にあります。とりわけゲームイベントの多い東京では、過去100年で年平均気温が3度もアップ。他の大都市が2.4度、中小都市が1度に収まってるのと比べて高止まりしています。それに伴い、熱中症患者も年々増える傾向にあります。総務省消防庁の発表によれば、8月2日時点で救急搬送者は1万人を突破したとのこと。熱中症は暑さに晒されることで起こる症状ですから、夏の暑い日に外出すれば当然リスクを高めることになります。ただ、そうも言ってられないのがゲーマーの背負う業の深さ。今回のイベントで倒れた中には飲み物を持たずに並んだ人もいましたが、仮に会場入りできたとしても、混雑する現場では自販機が売り切れになることも珍しくありません。日傘を差す、半ば凍らせたペットボトルを持参する、濡れタオルを用意するなど、モンスターのライフより先に本人のライフがゼロにならない水属性の防御デッキは必要です。それ以上に必要なのは、自分の体力や気分を過信せず、客観的に熱中症の危険が考えられる状況であれば、そもそも大きなリスクを冒して出かけるべきなのか、負荷を感じる前に離脱すべきではと判断することです。暑さで判断力か鈍ると、せっかくここまで並んだのだから、皆同じように並んでいるのだから、などと考えてしまいがちですが、今回のできごとが示したように、運営側に危機意識も管理体制も顧客の安全を優先する能力も欠如している状況はいつでもありえます。すでに立ち去るべき異常事態かもしれない、と想像することで、ぜひご自分と連れの安全を守ってください。追記:8月4日、Mixi社がリリース「事実と異なる情報が掲載されている件につきまして」を公開しました。内容全文は、
大きな事件や事故、惨事にはつきものの、誇張したうわさや悪意のあるデマに反論する内容です。8月2日のモンストフェスティバルにつきまして、一部SNS上などで「心肺停止者が出た」という情報が掲載されておりますが、そのような事実はございません。同日救急搬送された方の状況につきましては、千葉市消防局の発表のとおり(11名搬送、重症者なし)となります。また、「会場にてお客様の飲み物を没収した、ペットボトルは持ち込み禁止とされていた」などの情報も、一部の報道およびSNS上などで伝えられておりますが、これも事実と異なる内容であり、イベント会場においてそのような対応は実施しておりません。