飯塚vs英明

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飯塚が代打・原のサヨナラ安打で選抜出場の英明を破る!

本塁打を放った北野(飯塚)

 24日、秋春四国王者の英明は九州大会出場の飯塚と対戦。飯塚はNHK杯を制しており、今、最も勢いあるチームである。その勢い通り、英明を圧倒。夏の優勝候補になるのではと思わせる戦いぶり、攻守の完成度、選手の技量の高さがあった。

 先制したのは飯塚。3回裏、1番北野 秋宏(3年)が北九州市民球場のフェンスを越えるホームランで1点を先制する。この場面について北野は、「打ったのはカーブ。思い切り引っ張ることができました」と振り返るように、実に力強いスイングであった。両翼92メートルと狭いが、5.2メートルとフェンスが高い北九州市民球場だが、それを大きく超えて、北野自身、2本目の本塁打となった。さらに北野は5回表の第3打席でもストレートを捉え左中間を破る二塁打を放つ。少し緩めに走って、8.10秒を計測。それでもなかなか速いタイムである。

 北野は2012年、甲子園出場した北野 貴昭選手(福岡大)の弟である。兄も抜群のスピードを持ち合わせたショートストップだったが、弟もスピード面では負けていない。打撃については、オープンスタンスからバットを寝かせ気味に構え、最短距離で振りぬく打撃ができている。守備範囲が広いセンター守備も魅力的で、走攻守三拍子揃った逸材だ。

だが英明も4回表、一死一、二塁から四国大会で本塁打を放ち、神主打法から6番中野 公貴(3年)が左中間を破る適時二塁打で同点に追いつく。 試合はしばらく膠着状態となり、投手戦に。英明はエース・田中 寛大が、右足を高々と上げる独特のフォームでタイミングをずらし、130キロ前半の直球、スライダー、チェンジアップ。ここぞという場面ではチェンジアップを連発してしのいだり、5回裏、一死二塁のピンチでは、絶妙な牽制で刺すなど、実戦度の高さをアピール。

 飯塚の先発・渡辺 健太も好投。180センチ75キロと恵まれた体格をした右腕。右上手から常時130キロ〜135キロの直球に、スライダー、カーブ、スプリットを投げ分ける投球。フォームのバランスも良く、開きが小さく、下半身主導のフォームから投げ込む投手で、筋の良さを感じる投手であった。さらに体の力ができれば、コンスタントに140キロを出せる可能性を持った選手である。 そして試合は終盤に動き、3番森山 海暉(3年)が敵失で出塁し、ワイルドピッチ、犠打で一死三塁から5番圖子 優人(3年)のスクイズで勝ち越しに成功。ここで渡辺は降板。 内容を振り返って渡辺は、「今日は直球が走っていたので、しっかりと内角を厳しく投げることができました。ただストレートのスピード、キレ、スプリットの精度がまだまだなので、分かっていても、打たれないような精度にしていきたい」と意気込みを語った。

サヨナラ安打の原(飯塚)

  8回裏、飯塚が代打・久保湧己(3年)があわや本塁打と思わせる二塁打を放ち、ここまで2安打の北野を迎えた。サインはセーフティバント。ここで北野は50メートル5秒8の俊足を生かし、見事にセーフ。北野の俊足ぶりに焦った三塁手の送球がそれて、その間に三塁を回った二塁走者が生還し、2対2の同点に追いつく。

 9回表、飯塚は左サイドの澤辺 駿佑(3年)が登板。左サイドから常時125キロ〜130キロを計測。低い腕の位置から130キロ前後の速球を投げる投手は中々いない。合間に投げ込んでくるスライダーのキレも良く、英明打線を無失点に抑え、9回裏を迎え、一死満塁のチャンスから、代打・原秀斗(3年)の適時打でサヨナラ勝ち。選抜出場チームに対して、見事な試合運びであった。

 飯塚は好選手がかなり多い。遊撃を守る三村 涼太(右投げ左打ち 3年)は、スピードが優れた遊撃手。守備は2012年の北野選手に憧れを持っており、ミートセンスが良い打撃は北野兄の共通点がある。三塁手の揚村 彰斗(右投げ右打ち 2年)も面白い。まだ荒削りなところがあるが、鋭いスイングから繰り出す打球の速さ、またここぞというときに見せるスローイングの強さも魅力。

 北野主将に話を聞くと、春の結果に手応えを感じているようで、今日の勝利が大きな自信になったようだ。2012年夏以来の甲子園へ向けて士気が高まっているようにうけた。さらに攻守ともにワンランク底上げ出来るようになると、熾烈な戦いが続く夏の福岡を制する力を持ったチームになる予感をさせた。

(文=河嶋 宗一)