写真は岩波理恵さんの「こんな夜はせつなくて」のCD。こんなふうに<エコサイズ・カラオケ>は収録されています。

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歌謡曲系のCDのパッケージに、初めてみる表記を見つけた。

<エコサイズ・カラオケ>

シングルCDには、たいていの場合、収録曲のカラオケバージョンが収録されている。ただしいつも見るのは、<オリジナル・カラオケ>という表記。
“エコサイズ”? なんだそれ。
そのCDも、トラック1曲目が表題曲、2曲目カップリング曲。そして3曲目が表題曲のオリジナル・カラオケで、4曲目がカップリングのもの。ここまではよく見るものと同じ。そこに、5、6トラック目として、<エコサイズ・カラオケ>が収録されている。

【エコサイズ・カラオケとは、いったい何なのか】


CDの発売元、徳間ジャパンコミュニケーションズにたずねてみたところ、エコサイズ・カラオケとは、本来の曲よりも短めに編集されたカラオケトラックのことなのだと、演歌・歌謡曲担当者がこう教えてくれた。
「いわゆる“テレビサイズ”というものに近いですが、あらかじめ短くしてカラオケを作っているもののことですね」
ざっくりいえば、2コーラス目がカットされていたりするけれど、ブツ切りな感じにならず、間奏なども自然な流れに短縮されているバージョンのカラオケ、ということだ。
つまり、時短という意味でのエコ、ということか。

他社の作品にも<2コーラスカラオケ><1ハーフカラオケ>といった“短めカラオケ”を収録したものもあるが、<エコサイズ・カラオケ>という表現は、徳間ジャパンの作品だけのもの。

では、なんのためにわざわざ短めカラオケが用意されているのだろうか。前出の担当者によると、
「たとえばカラオケコンテストなどでCDを使用する場合、時間の制約などでフルコーラスでは流せないこともあるんですね。そういったときに使うことがあるんです」
そんなときに、途中でブツ切りしたり、無理矢理フェードアウトして終わることなく自然に最後まで着地できるという、ありがたいバージョンなのだ。
くだんのCDを見てみたら、歌詞カードのところに、
<プライベート・ショーなどで、時間に制限がある場合、たいへん便利なコンパクト・サイズ(2コーラスや1ハーフ等)に編集したカラオケです>
と、ちゃんと表されていた。

そんなわけで、徳間ジャパンでもエコサイズ・カラオケが収録されるのは、やはりカラオケが身近な存在である演歌・歌謡曲系のCD。
「サービスのような形として収録させていただいています」
実際、購入者にも重宝がられているそうだ。

演歌・歌謡曲系のシングルでは、収録されるカラオケバージョンはこのように重要視されていて、<男性キーカラオケ>や<女声用カラオケ>に<メロ入りカラオケ>、<一般用半音下げカラオケ>、<ガイドメロ入り半音下げカラオケ>などなど、他ジャンルではあまり見かけないカラオケバリエーションの充実ぶりである。

カラオケボックスとかでカラオケを歌うとき、ワンコーラスだけ歌ってそれなりに満足し、「もういいかな」と、「演奏停止」ボタンをピッとやってブツ切りにしてしまうこともある。エコサイズ・カラオケなら、そういう面でも「ちょうどいい」サイズにしてブツ切りにならないというわけだ。聞くほうだって、このぐらいで「ちょうどいい」こともあるかもしれない。CDのカラオケで半音下げるのもなかなか難しいだろうし。ユーザーフレンドリーなカラオケトラックの世界だ。

「カラオケバージョン、いらない」という人もいたりするが、かゆいところに手の届くカラオケバージョンの世界も、ある。
(太田サトル)