パットが肌に直接付かない設計。

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私の高校時代は、“腰履き”の全盛期。プライベートではゆるゆるのジーパンやチノパンを穿いてたし、それは勉学に励む学校内でも同様。わざと大きめサイズの制服ズボンを仕立て、それこそパンツが見えそうなノリで堂々と通学していました。
いや、あの頃は指定の制服そのままじゃ満足行かなかったんです。でも、たまに先生方に怒られてたっけな……。

話は変わって、過去に掲載されたコネタを振り返りましょう。2年前、水泳用品メーカー「フットマーク」がフレアスカートを採用した可愛らしいスクール水着を発表し、話題となりました。というのも昨今、スクール水着に関し「紺色や色が無地だったら、どの水着でもOK」と定めている学校が増えているらしいんです。
とは言っても「紺」「無地」という条件内で、生徒たちが本当に気に入る水着って難しいよな……。思春期男女の嗜好を満たす水着、より選択肢を増やしてあげられればいいのですが!

この状況を受け、またしてもフットマークが仕掛けてくれました。企業と現役中学生が商品を共同開発する企画「スーパー中学生ものづくりプロジェクト」を企画した同社は、“ものづくりの町”東京都墨田区の現役中学生(男女4人)とコラボ! 都立両国高等学校附属中学校に通う生徒が「本当に着たい」と思うスクール水着を、商品化してみせたのです。

「きっかけは、都立両国高等学校附属中2年生の課外授業でした。職場体験の一環としてものづくりが始まり、その流れで商品発表までお付き合いいただきました」(同社・担当者)

今回は、同じ学校に通いながら面識はあまりないという4人が集結し、プロジェクトが進行。全体の流れは、以下です。
(1)全校生徒へのアンケート調査。 約300人の“水着に関する声”を集計して、その中から要望を拾い上げる。
(2)企画書を作成し、中間発表会に臨む。 ここまでの経過を同社社員の前で報告した。また、価格や水着市場についても学び、さまざまな知識をインプット!
(3)ファーストサンプルが完成! これらを着用してプールで実際に泳ぎ、修正ポイントをまとめた。女子チームからは「もう少し肩ヒモを太く」など、かなり細かい指示が飛んだ模様。
(4)セカンドサンプル完成! だいぶ自分たちの理想に近付きつつある。またパッケージのデザイン、ブランド名についても着手。ちゃんと生徒4人で考えています。
(5)ついに、水着が完成! ブランド名は「ideal∞swimming(イデアルスイミング)」に決定。「ideal」はドイツ語で「理想」という意味。また、彼らが同中学の“8期生”であることと“無限”をかけ、「理想やアイデアは無限」だと示すネーミングに。この時、すでにスタートから半年が経過していました。

というわけで出来上がったのは、男女それぞれ2種の水着(税込小売希望価格5,940〜7,020 円)。特徴は、以下です。
【女子用】
●スナップボタン付きで上着の裾めくれ防止
●パットが肌に直接付かない設計
●上着の裾の後ろ部分が長め設計で、体育座りしても肌が見えにくい
●撥水加工で冷え防止
●水玉柄の肩紐で可愛く
●サイドの水玉ラインで細見え効果
「授業の合間の短い休憩時間で、いかに効率よく着替えられるかがポイント! 着替えやすさだけでなく、安心して着られる水着を考えました」(女子生徒によるコメント)

【男子用】
●ズボンにゴーグルと帽子がかけられるループ付き
●上着付きなので、肌露出が少ない
●肩紐部分が太め設計で肩への負担も軽減
●撥水加工で冷え防止
●グラデーション加工でかっこ良く
●パンツのサイドラインでシャープでクールな印象
「かっこいい水着がほしいという声も多くありました。サイドラインでかっこ良さを表現できたかな?」(男子生徒によるコメント)

しかし約300人からの要望を、よく上手にまとめましたねぇ。
「女子からは『着替えやすい水着を』という声が多数だったので、セパレーツ型は必須でした。男子からは『とにかく上半身が冷える』という意見が多く、あったかい水着をつくろうと“上半身付き”“足首まであるパンツ型”が生まれました」(同社・担当者)

またパンツの長さを2種類用意していることには、理由があるという。
●短いパンツ……中途半端な丈だと、私服の時に日焼けの境目が目立ってしまう
●長いパンツ……あまり露出したくない
なるほど、どちらの気持ちもわかるなぁ!

「毎年授業で着ている水着を自分たちでつくってみたい」「地味な印象の水着を可愛くしたい!」「将来、ものづくりに携わりたい」、それぞれの思いで今回のプロジェクトに参加した中学生メンバーたちですが、このような“ものづくりプロジェクト”は今後も続いていくのでしょうか?
「弊社としては続けていきたいと考えており、来期生も募集しております」(同社・担当者)

着る本人に聞くと、なぜか全く新しい形に生まれ変わるのが面白い。中学生自身が、今までのイメージを変える斬新なスクール水着を作りましたよ!
(寺西ジャジューカ)