フリーペーパーは“群雄割拠”
企業の商品広告などで成り立つフリーペーパー。日本生活情報誌協会の調査によると、東京都内だけで約300社が手掛け、種類は約700紙・誌にのぼるという。インターネットや携帯電話が身近なメディアとして進化を遂げる一方、フリーペーパーも若者や団塊層にターゲットを絞った企画、イベントとの連携など工夫を凝らし、街頭や駅での存在感を高めている。
リクルート(東京都中央区、柏木斉社長)は6日、無料週刊誌「R25(アール・ニジュウゴ)」の創刊2周年を記念して、東京・銀座の同社ビル1階にカフェをオープンした。白を基調とした48.5坪の店内では、「R25」の最新号が常に手に入れることができる上、42ある座席でコーヒー片手にくつろぎながらも、備え付けの電光掲示板で最新のニュースがキャッチできる。
「R25」は2004年7月に創刊、毎週木曜日に首都圏の駅構内やコンビニなど4700カ所で、計60万部配布している。ターゲットとする25─34歳のサラリーマン男性を示す「R25世代」という造語も生み出し、創刊以来2、3日ほどで品切れになる状況が続いているという。
「カフェが作った雑誌はあるけど、雑誌からできたカフェは珍しい」と、初めて開いた常設カフェをアピールする同社広報。「仕事の合間の10分間のとまり木」とのコンセプトの通り、開店初日の午後3時には談笑するサラリーマンで満席状態となった。携帯電話の充電ができるように店内各所にコンセントを備え付け、無線LANも完備しており、あくせく働く「R25世代」にとっては心強い“前線基地”としても活用できそうだ。
一方、団塊世代の中高年向けのフリーペーパーも登場。女性向け首都圏情報誌「OZmagazine(オズマガジン)」を手掛けるスターツ出版<7849>は5月26日、無料月刊誌「ゴールデン・ミニッツ」を創刊した。「人生のゴールデンタイム」とも言える50歳以上の男性をターゲットにした同誌の創刊号の表紙を飾ったのは、歌手の矢沢永吉さん。最新の第2号には井上陽水さんを起用したところ、発行した次の日には配布場所の東京メトロ59駅から姿を消し、12万部が“完売”してしまったという。
同社によると、コンセプトは「毎日がもっと愉(たの)しくなり、大切な人との絆(きずな)がさらに強まり、こころが豊かになる」で、編集体制は40代の男性編集長と20代の女性2人だという。誌面を見れば、藤巻幸夫さんや森永卓郎さんら経済評論家によるビジネスコラムが充実。食、映画、読書、健康などの“大人の視点”から厳選した情報のほか、「あなたにとって“家族”って何ですか?」「お父さんへのラブレター」など日常を省みる機会も提供してくれる。
東武鉄道<9001>は地域密着型で勝負。7日に、30代の働く男女をターゲットとした無料季刊誌「TOBU MARUCO・東武沿線見聞録」を創刊する。同線沿線や都内の観光モデルコース、文化と歴史、ショッピング情報などを体験記風に紹介した計5万部を、東武線の主要駅、池袋東武百貨店などで配布する。
「無料情報誌の種類が増えたことで、広告媒体としても注目が高まり、出稿依頼も増えてきた」と分析するのは、都営地下鉄の駅などで手に入る無料週刊誌「TOKYO HEADLINE(東京ヘッドライン)」編集部。無料誌の先駆者的存在の同誌は、02年の創刊当初は日刊紙として参入したが3カ月で断念。週刊に鞍替えし、ニュースのほか、週刊テレビ欄や娯楽情報も充実させることで、発行35万部という地位を確保したという。
種類の増加の一方、読み終わった無料誌が、電車の棚や歩道で散乱する様子も時折見られる。前出のリクルート広報は「中吊り広告でも、家まで持ち帰るように告知しているが、保存したいと思ってもらえるような価値ある情報を載せるように努めている」と話している。【了】
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はたらく女性にOL版「R25」
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「カフェが作った雑誌はあるけど、雑誌からできたカフェは珍しい」と、初めて開いた常設カフェをアピールする同社広報。「仕事の合間の10分間のとまり木」とのコンセプトの通り、開店初日の午後3時には談笑するサラリーマンで満席状態となった。携帯電話の充電ができるように店内各所にコンセントを備え付け、無線LANも完備しており、あくせく働く「R25世代」にとっては心強い“前線基地”としても活用できそうだ。
一方、団塊世代の中高年向けのフリーペーパーも登場。女性向け首都圏情報誌「OZmagazine(オズマガジン)」を手掛けるスターツ出版<7849>は5月26日、無料月刊誌「ゴールデン・ミニッツ」を創刊した。「人生のゴールデンタイム」とも言える50歳以上の男性をターゲットにした同誌の創刊号の表紙を飾ったのは、歌手の矢沢永吉さん。最新の第2号には井上陽水さんを起用したところ、発行した次の日には配布場所の東京メトロ59駅から姿を消し、12万部が“完売”してしまったという。
同社によると、コンセプトは「毎日がもっと愉(たの)しくなり、大切な人との絆(きずな)がさらに強まり、こころが豊かになる」で、編集体制は40代の男性編集長と20代の女性2人だという。誌面を見れば、藤巻幸夫さんや森永卓郎さんら経済評論家によるビジネスコラムが充実。食、映画、読書、健康などの“大人の視点”から厳選した情報のほか、「あなたにとって“家族”って何ですか?」「お父さんへのラブレター」など日常を省みる機会も提供してくれる。
東武鉄道<9001>は地域密着型で勝負。7日に、30代の働く男女をターゲットとした無料季刊誌「TOBU MARUCO・東武沿線見聞録」を創刊する。同線沿線や都内の観光モデルコース、文化と歴史、ショッピング情報などを体験記風に紹介した計5万部を、東武線の主要駅、池袋東武百貨店などで配布する。
「無料情報誌の種類が増えたことで、広告媒体としても注目が高まり、出稿依頼も増えてきた」と分析するのは、都営地下鉄の駅などで手に入る無料週刊誌「TOKYO HEADLINE(東京ヘッドライン)」編集部。無料誌の先駆者的存在の同誌は、02年の創刊当初は日刊紙として参入したが3カ月で断念。週刊に鞍替えし、ニュースのほか、週刊テレビ欄や娯楽情報も充実させることで、発行35万部という地位を確保したという。
種類の増加の一方、読み終わった無料誌が、電車の棚や歩道で散乱する様子も時折見られる。前出のリクルート広報は「中吊り広告でも、家まで持ち帰るように告知しているが、保存したいと思ってもらえるような価値ある情報を載せるように努めている」と話している。【了】
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