東京都中央区にある新日本無線本社(資料写真:常井健一)

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半導体メーカーの新日本無線<6911>は24日夜、同社株式の公開買い付け(TOB)を日清紡<3105>と村上ファンドの双方が掛けている問題で、臨時取締役会を開き、村上ファンド側のTOBへの反対を決議したと発表した。また、日清紡側への賛同を従来通り維持する意向も示した。同無線の親会社の日本無線<6751>も日清紡側への応募を内諾、日清紡も買い付け条件を維持しているため、村上ファンド側の敵対的な立場が鮮明になった。

 新日本無線は、反対の理由を◆村上ファンドの事業内容が投資・運用なので、事業上の相乗効果が見込めない◆買い付け予定株数の上限を設定していないため、上場廃止リスクがある◆第3者へ売却して投資を回収する可能性があり、経営の不安定要因になる─などとしており、「長期的・継続的な企業価値・株主共同の利益の確保・向上に資するものではない」と説明している。

 新日本無線からの反対表明を受け、村上ファンド側も同日夜、コメントを発表。村上世彰(よしあき)・村上ファンド代表と久米一弘・同無線社長が会談した22日以降、同無線から確認や質問などの情報収集がないことに不快感を示し、「株主価値向上について真剣に取り組んでいるとは到底評価できない。日清紡の子会社になることは、経営陣の保身のためであるとしか言えない」と批判した。

 同無線株をめぐるTOBは、日清紡側が1株840円、村上ファンド側が1株900円を買い付けの条件としている。新日本無線の「反対表明」で、同無線株50.49%を保有する日本無線が従来通り応じるか、日清紡側の期限である29日にもヤマ場を迎える。

 24日の指田禎一・日清紡社長と村上氏の会談後のインタビューで、村上氏は、買い付け価格の差を強調して、日本無線が日清紡のTOBに応じれば株主代表訴訟の対象になる可能性があると指摘。新日本無線と村上ファンドの会談時には、ライブドアがニッポン放送新株予約権の発行差し止めを求めた法廷闘争で、同放送側に立った中村直人弁護士が同無線側の代理人として同席したことから、 “TOB合戦”が法廷闘争に持ち込まれる可能性もある。【了】

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