「2010年までに売上1兆円」と事業戦略を掲げるファーストリテイリングの柳井会長(撮影:吉川忠行)

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ユニクロ」を展開するファーストリテイリング<9983>は5日、東京都千代田区の帝国ホテルで会見し、積極的なM&Aを推進し、2010年までに連結売上高1兆円、経常利益1500億円の世界一のカジュアルウェア企業を目指す事業戦略を発表した。

 今月1日に社長に復帰した柳井正会長兼CEOは掲げた目標に対し、「儲からなかったら経営者を続ける理由はない」としながら、「創業者で自社の株を半分持ちながら、全面的に退陣というのは無責任」と含みを持たせた。また、持株会社と事業会社の会長、社長の兼任体制について「1、2年後までに解消したい」と今後、新たな人材をトップに据える可能性を示唆した。

 同社は、国内のユニクロ事業で、新たに創出する売上を年間960億円と試算。「出店戦略を180度変えたい」(柳井会長)と大型店「ユニクロプラス」など立地・業態を抜本的に見直し、郊外の大型店と都心の小型店を重点的に展開。米高級店、バーニーズニューヨークで活躍した実績を持つ勝田幸宏執行役員を中心に、世界のファッション業界から優秀な人材を集め、今月末までに東京、ニューヨーク、パリ、ミラノの世界4カ所、約220人体制の商品開発本部を設立する。柳井会長は「まだ顕在化していないニーズがあり、世界的規模で商品開発していけば、コア商品の数は今の2、3倍になる」と流行したフリースに次ぐ新たなヒット商品づくりに意欲を示した。

 また、持株会社「FRホールディングス」へ11月に移行するのを機に、大企業体質を見直し、「再ベンチャー化」を強調。今後3年間で3000〜4000億円規模のM&Aを実施し、優秀な経営者の獲得と、短期間で売上高1000億円に成長する新たな支柱事業の構築を図る。今月から中国・北京に2店舗、香港に1店舗、韓国・ソウルに3店舗、米ニュージャージに2店舗とそれぞれ開業するなど、海外攻勢を強めており、M&Aをグローバル展開にもつなげたい考え。そのほか、経営における監督機能と業務執行機能の分離や、グループ事業会社の上場などを掲げ、社員の革新的な行動を促す。

 一方、競合するギャップジャパンは今月から、米国で展開する別業態「バナナ・リパブリック」を進出させ、東京・銀座や六本木、日本橋、横浜に4店舗を開業。これに対し、柳井会長は「日本の市場がそれだけ魅力があるということ」と述べ、「脅威ととらえずに、同じ市場でそれぞれ違う形で一緒になって競争していきたい」との姿勢を示した。【了】

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