【画像提供】日本オオカミ協会/櫻井 徹

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 今やオオカミと聞いても「男はオオカミなのよ〜気をつけなさい♪」という、ピンクレディーの歌しか連想できないほど(これも古いなー)ではございますが、日本で20世紀初頭に絶滅してしまったオオカミを再び呼び戻そうという計画が、このほど北海道・知床で報告されたんだとか。

 そもそもオオカミって人や家畜を襲い、何なら食っちまう恐いイメージがあるんですが・・・。そのオオカミを復活させようとは、どういうことなんでしょう?

 「オオカミを復活させることは、増えすぎたエゾシカを減少させ、本来の生態系プロセスを復元させる狙いがあります。オオカミが人を襲うというイメージは根深いですが、それは『赤ずきんちゃん症候群』です。オオカミが人を襲った人身被害は、世界でもたった一例しか報告されていません。グリム童話のようにオオカミが人を食べるのは大きな誤解です」と語るのは日本オオカミ協会会長丸山直樹さん。

 もともとオオカミは賢く協調性に富んだ動物。獲物も傷ついたものや弱いものを優先的に狙うので、結果的にその群れを必要以上に狙ったりすることはない。生態系が崩れてしまった原因も、人間が必要以上にオオカミを迫害してしまったからではないかと推測する声もあるほどだ。

 実際ポーランドなどでは、子供が遊んでいる傍でオオカミがいるということも日常茶飯事で、人間に危害をもたらしたケースは皆無。現在ヨーロッパやアメリカではオオカミを保護するプランは、着々に進められている。しかし、この知床のオオカミ復活計画が直ちに実現できないのは、いくつかの理由があるという。

 「やはり、一番はオオカミが人間を襲うのではないかと心配に思う方が、多くいらっしゃることでしょう。そして2つ目は、北海道で放牧している羊を襲うのではないかという心配です。しかしこの2点は、わたし達がオオカミに関して正しい認識を持つことと、羊は夜はきちんと小屋に戻すことを意識すれば解決される問題だと思います。もし知床にオオカミが復活したら? ええ、オオカミ協会としてはもろ手を挙げて大歓迎ですよ」(同)

 考えてみれば、絶滅してしまったコウノトリもトキも保護されて復活した生き物。ならばオオカミとて同じこと。法整備やオオカミに対するイメージの払拭など課題は山積みだが、これさえ解決すれば知床半島にオオカミがひょっこりお目見えする、って日もそう遠くないかもしれません。(文/verb)