耐震強度偽装問題の衆院証人喚問で、偽装への関与を否定する総合経営研究所の内河健所長

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耐震強度偽装の実態解明を目指す衆院国土交通委員会は、14日午後も引き続き行なわれ、構造計算書が偽装されたホテルなどの開業を主導的な役割を果たしたとされる経営コンサルタント会社「総合経営研究所」(総研)の内河健所長を証人喚問した。内河所長は「姉歯氏が(構造計算に)入っていることは全然知らなかった。私は建築屋じゃないので、構造に関して言うことはなかった。(構造が)分からない人間なので(偽装は)やってない」と述べ、姉歯氏との面識と、偽装への関与を否定した。

 喚問では、各委員から偽装構造の中心人物と目される内河所長の責任の大きさを指摘する声が多数上がった。そして、姉歯氏らの証言との「食い違い」も指摘された。

 午前中の喚問で、姉歯氏が内河所長との面識は、平成設計の先代社長の葬儀で「すれ違った」のが最初と答えた。しかし、内河所長は「姉歯氏とは会っていない。私はその葬儀には出席していない。人違いでは」と面識を否定した。木村建設との関係については、30年近く前に内河所長の講演に木村盛好社長が来たのがきっかけで、木村社長に呼ばれて5、6年後に同社に行き、社員教育のサポートをした、と述べた。
 
 そして望月義夫議員(自民)が、一連の偽装問題の構図を「マンション・ルート」と「ホテル・ルート」の2つに分けて説明。ホテル・ルートでは、総研を頂点として、施工の木村建設、設計の平成設計、その下請けの姉歯建設設計事務所があり、総研のセミナーに参加したホテル経営者などを紹介する流れがある、と述べた。マンション・ルートでも、施工の木村建設、設計の平成設計を中心として、ヒューザーなどの建築主があり、平成設計の下請けの姉歯事務所がある、との構図を紹介した。

 それに対して、内河所長は「マンション・ルートについて、木村建設の分譲マンションは我々の経営指導になかったもの。総研がタッチしているものはない。マンション・ルートは全然知らない。心外だ」と反論。ホテル・ルートについても「コンサルタントは、ホテル社長の代理人としてプロジェクトをまとめ上げるのが仕事」と主導的な位置づけを否定した。

 また「鉄筋を減らせばホテルを安く作れる。構造計算屋を変えるだけで可能」と案内する内河所長の直筆のメモに対しては「『減らせば』ではなく『減っていたら』と書いてあるだけ。構造計算屋をだれも指定したことはない」と反論した。吉田六左エ門議員(自民)からは「一連の構図は総研が推し進めたとしか思えない」と指摘されたが、「木村建設に『構造を考えろ』『鉄筋減らせ』などの相談を受けたことはない。そういう思想がよそへ行ったことは絶対考えられない」と述べた。

 内河所長は、総研が開業支援したホテルは238件、そのうち姉歯元建築士が構造設計した物件は27件で、改ざんが確認されたのは24件であることを報告した。【了】

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