正月の風物詩、第91回箱根駅伝は青山学院大学が10区で5つの区間賞を獲得、2位と10分以上の差をつける圧倒的な強さで初の総合優勝を果たした。

すると、15日に放送した日本テレビ「行列のできる法律相談所」では、青学陸上部・原晋監督が出演。営業マン時代のノウハウを生かした説得術や選手育成法を語った。

中京大学出身の原監督は27歳で陸上選手を引退、サラリーマンに転身すると、中国電力で1000万円もする空調機を売りまくり“伝説の営業マン”と呼ばれるようになったという。

そんな原監督は11年前、後輩から青学陸上部が監督を探していると聞かされるや、大学理事長にプレゼンを敢行。営業マン時代の経験から「5年で箱根駅伝に出場させ、8年でシード権を得て、10年で優勝を争えるチームにする」などと今後のビジョンを論理的に説明することで、縁もゆかりもない大学ながら陸上部の監督を務めることになった。

だが、2004年の監督就任当初は選手達の意識も低く、その立て直しには多大な苦労を伴ったという。それでも原監督は、選手達に規則正しい生活を守らせたり、「目標管理ミーティング」を取り入れるなど意識改革に取り組んだ。

また、練習も従来の方法ばかりではなく最新のトレーニングを導入。コストがかかる場合は、他大学の投資費用を一覧にまとめ大学側を説得するなど、その努力が実を結び、青学は原監督の就任5年で箱根駅伝に出場した。

「走ることもビジネスも一つの目標を定めて、そこに向けてチームが心を一つにして突き進んでいく。ブレずにやってきた」と語る原監督は、サラリーマンから監督を目指そうとしたきっかけを訊かれると「ダメダメだったんです、私。実は。それを原はちゃんとやるんだっていうところを見せ付けたいというのが一番のきっかけ」と振り返る。

スカウトの仕方については「男前を取ります」と言い、周囲を驚かせた原監督は、その理由について「表現力豊かな学生を取りたいんです」と説明。箱根駅伝を走る10人を選ぶ瞬間についても「普通は4日前くらい前から決めるんですけど、今回4区では前日の12時半に3人呼びまして“君にする”ということを伝えました。理由を伝えるとともに次に生かせるような言葉も投げる」と明かした。

さらに、“山の神”と呼ばれたエース・神野大地に質問が及ぶと「今でさえ43キロくらいになりましたけど、入学した時は30キロ台だった」という原監督は「私がスカウトした時はまだ全国区の選手ではない。菅原高原で高校と同じ場所で合宿をやったんですけど、ウサギのように草原をぴょんぴょん走る姿を見てコイツは伸びると思いました」などと語っている。