乾貴士 (撮影/佐野美樹・PICSPORT)

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アギーレ監督の探していた最後のパーツは乾貴士だった。

就任してアジアカップまで6試合。1カ月に2試合ずつというスケジュールの中で、アギーレ監督は様々な選手を試した。9月は初招集となる選手を多く試し、10月もまた試した。11月になってベテランを招集し、新たなチームの骨格が揃った。

ところが11月まで先発ではなかった乾が、アジアカップでは2試合連続でスターターとなっている。実は1月4日のトレーニングマッチでも乾が先発した。ただし、そのときは周囲とのコンビネーションが合わず、むしろ途中出場した武藤嘉紀のほうが目立っていた。だが翌日の1月5日、非公開で行われた変則トレーニングマッチで乾は2ゴール。信頼を取り戻して見せた。

そしてスタートしたアジアカップでも、試合を重ねるごとにコンビネーションを成熟させている。乾がこのチームに持ち込んだのは、前線の選手の流動的なポジションチェンジ。流れるように入れ代わり、相手を混乱させている。特に香川真司とのコンビは、乾を生かすだけではなく、香川の特長も引き出し、パワーを倍増させている。この日もマーカーの足の間を通して香川にスルーパス。惜しくも決まらなかったが、そのこぼれ球を本田圭佑が拾い、決勝点となるPKを獲得した。

「1-0でしたけど、勝てたことはよかったと思います。とにかくいいゲームができたと思います。もちろん暑かったですし、でもみんなしっかり走りきって掴んだ勝利だったと思います」

「左サイドの間のスペースが結構空いていたので、そこでつなげればチャンスになりました。そこを狙おうと試合中に他の選手と話をして、そのとおりにできたと思います。試合開始直後から相手が引いてくれていました」

「(PKに繋がった香川へのパスは)最初、マイナスのパスを狙おうかと思ったのですが、相手も来ていたので、(香川)真司も動き直してくれていたので、もう股の間しか残っていなかったので、イチカバチか狙いました」

「守備はしっかりみんなやることをやっていたので崩されるシーンはあまりありませんでしたね。怖かったのはセットプレーぐらいでした」

「真司が相手の選手の間でパスを受けてくれていたのでワンツーを狙いやすかったですし、ヤット(遠藤保仁)さんが相手選手の間に入れてくれるパスも良かったので、やりやすかったと思います」

ニコニコとしながらゆっくり話す乾の姿には自信がみなぎっている。次のヨルダン戦では、そろそろゴールが見られるかもしれない。

【取材・文/山本遼太郎】

乾貴士

(撮影:佐野美樹/PICSPORT)


▼ 香川真司

(撮影:佐野美樹/PICSPORT)


▼ 本田圭佑

(撮影:佐野美樹/PICSPORT)


▼ 遠藤保仁

(撮影:佐野美樹/PICSPORT)


▼ 吉田麻也

(撮影:佐野美樹/PICSPORT)


▼ 今野泰幸

(撮影:佐野美樹/PICSPORT)


▼ 森重真人

(撮影:佐野美樹/PICSPORT)


▼ 清武弘嗣

(撮影:佐野美樹/PICSPORT)


▼ 本田圭佑

(撮影:佐野美樹/PICSPORT)


▼ 本田圭佑

(撮影:佐野美樹/PICSPORT)