日本よりもヤバい超格差社会・韓国のスラム街に行ってみた
内閣府の『外交に関する世論調査』によると、韓国について「親しみを感じない」という人が前年比8.4%増。1978年の調査開始以来、最低の値になった。
ここのところ、日本が韓国に対して悪感情を抱く要因は色々あるが、その一つに「韓国が日本のことを嫌いだから」というのがある。
誰だって、自分のことを嫌いな人と仲良くしたくない。ちなみに韓国人が「日本が世界に悪い影響を与えている」と思っている人は、79%にものぼるのだ。
ではなぜ日本に対して憎しみを抱くのかと言えば、これも色々あるだろうが、一つには政治的に「日本を憎むように導いているから」というのがあるだろう。
怒りのはけ口を日本に向けることによって、国内の不満が爆発しないようにしているわけだ。不満の原因は不景気なのはもちろん、日本以上の超格差社会がゆえに、負け組の人はローンやら、失業やらで、大変なストレスを感じているという。
というわけで、そのストレスが最もたまっている場所。韓国のスラム街を実際に訪れてみた。
韓国社会で生きるストレス最初にやってきたのはソウル市の北のハズレにある『タルトンネ』と呼ばれるスラム街。タルトンネとは月の街の意味。とてもオシャレなネーミングだが、理由は人が住まないほど高い場所にあるスラム街だからだ。
具体的な住所は『蘆原区 中渓洞104番地』、現場に近づくと、どんどん建物がボロボロになっていく。天井部分にはビニールシートが敷かれ、瓦礫やタイヤが積まれている。
標高はかなり高いので気温はとても低い。外を歩いている人はほとんどいない。ただ、自動車を持っている人は多いようで(実際車がないと生活できないと思う)、ボロボロの家の外に、ピカピカのヒュンダイの自動車が停まっているという光景がよく目についた。
名前の通り、急斜面の坂道が続く。お年寄りが歩いている姿は、見るに耐えなかった。真冬なのにもかかわらず、糞尿の臭いが鼻についた。これが真夏なら、衛生的には最悪だろう。
確かに、こんな街に住んでいたら、日々「自分は下層階級に住んでいる」と自覚してしまう。ストレスがたまるだろう。
だが、もっと格差ストレスを感じるスラム街もあるらしい。というワケで、江南(カンナム)区に行く。江南区と言えば、2012年PSYの『江南スタイル』が大ヒットして有名になった都市だ。江南区は、PSYの出身地で、高級住宅が多いことで知られる土地だ。日本で言ったら、田園調布か青山か、そんな土地だ。
そしてそのすぐ目と鼻の先に、スラム街が広がっている。取材に行こうとすると、ボランティアらしき人が近づいてきて
「もめている時期なので、入らないで欲しい」
と言ってきた。立退き問題でもめているらしい。確かに「立ち退かないぞ」などと書かれた、看板も出ていた。
ここまで来て帰るのも嫌なので、刺激しないようにするから入れてくれとお願いして、中に入った。
家……というより小屋が並んでいる。日本で言えば、ホームレスのテントが近いかもしれない。木材で適当に作った小屋と、適当に並べられた家財道具、プロパンガス、バイク、植木、肥料……などが乱雑に並んでいる。
ただここに住んでいる人たちはホームレスではない。小学校から帰ってきた子供たちが、元気にバラックの中に入っていくのを見た。住人数人とすれ違ったが、とても疲れていて、生気は感じられなかった。スラム街のバラックからは煙った大気の向こうに、江南区の高層ビル街がそびえ立つのがよく見えた。たしかに凄まじい格差を感じる。
少し歩いただけでも、超格差社会を体感し、韓国の社会で生きるストレスがどれだけ大きなものなのかわかった。
韓国の格差がなくなるのは遥か未来のことだろう。それまでは「全ては日本のせい」の政策が続く。そして韓国に親しみを感じない日本人はどんどん増えていくだろう。負の連鎖は、そう簡単には終わりそうがない。
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(取材・文/村田らむ)