昨年末の12月15日から、世界初の量産水素カー・トヨタ「MIRAI(ミライ)が発売を開始。水しか排出しないエコカーとしての話題ばかりが注目されるが、「車としてちゃんと使えるの?」「水素って安全?」「燃費は?」などなど、ミライに対する疑問や不安がいっぱい。

そこで、モータージャーナリストの竹岡圭さんが実車を試乗チェックし、疑問に答えてくれた。

【Q1】水素は爆発しない?
「ガソリンや天然ガスと同じように安全だといわれています。それは水素を燃焼させて電気を作るわけではないからです。車には水素と酸素を化学反応させて電気ができる“燃料電池”という発電装置があります。その装置に水素タンクから水素が供給され、酸素と化学反応して、電気が生まれます。そこで作られた電気を使ってモーターを回し、走るわけですから、排出されるのは化合物の水だけ。エンジンの排出ガスのような有害物質を含まない、とてもクリーンな発電方法なんです」

【Q2】水素はどこで入れるの?
「全国に設置される水素ステーションで充填します。充填にかかる時間も約3分と、この点ではガソリン給油とあまり変わりません。ただ、やはり設置箇所がまだ不足しています。今後40カ所ほどの設置予定があるのですが、それでも足りません。水素カー普及のためには水素ステーションの充実は急務でしょう」

【Q3】燃費は?
「カタログ上は1回、水素を満タンにすると約650キロ走れることになっています。もちろん走行条件や運転の仕方でこの距離は大きく変わります」

【Q4】水素の価格は?
「水素の販売価格は1キログラム当たり1,100円(消費税別)となっています。ミライの燃料消費量から換算すると現在では、ハイブリッド車並みの価格になるとしています。この価格に関しても各水素ステーションで差が出ると思いますが、地域差はガソリンと同じです」

【Q5】どんな乗り心地?
「まずアクセルを踏み込むとスムーズに、新幹線のようにスーッと発車し、しかもかなり力強く加速し、思わず『うわっ!』と叫んじゃうほど早くてパワフル。スタートは飛び出さないように、やんわりスタートするように心がけないといけませんね。そしてフラットで安定した姿勢で走るため、まるで空飛ぶじゅうたんに乗っているような、気持ちのいい浮遊感覚があります」

【Q6】車内の広さは?
「前のシートも窮屈ではなく、広々としているのですが、特に驚いたのはリアシート。広くて、ゆったりしていて“応接間感覚”たっぷり。おまけにモーターですから室内が静かで振動もないので、会話も弾むし、音楽だって心地よく響いてきますよ」

まだデビューしたばかりでインフラの問題も含めると、現実的には普及に時間はまだかかりそう。しかし今後、水素ステーションの普及や車の開発が加速すれば未来に明るい兆しが見えてくる!