iPhoneやGALAXYでも過信は禁物“スマホで感電・爆発”を回避するバッテリーと充電の使い方

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スマートフォンは、いつでもネットが使える手軽さや、通話・ネットだけでなく動画や音楽再生など多機能な便利さが人気を集めています。一方で、バッテリーがすぐ切れてしまうという課題から急速にバッテリー容量の増加が進められてきました。また、バッテリーの容量の増加にともない充電時間を短縮する“急速充電”の対応も進んでいます。

バッテリーの容量と充電速度の向上は良いことずくめのように思えますが、実は大きな落とし穴もあります。スマートフォンは電子機器のなかでも充電する回数が非常に多い機器と言えるでしょう。ユーザーは当然いつでも安心して充電・利用ができると思っているでしょう。

ところが・・・
今年になって、中国でiPhone 5の充電器が原因と思われる感電事故が2件発生し一人が死亡しています。またスイスではGALAXYがカバンの中で爆発し18歳の女性が大火傷を負ったと報道されています。こうした充電やバッテリーに関連した事故は、頻発はしていませんが過去何回か発生していることが伝えられています。

そこで今回は、スマートフォンにおいて、バッテリーに関する感電や発火、爆発といった問題が起きるケースと回避する方法を整理して考察してみましょう。


■原因1 ケーブルと充電器
スマートフォンの充電では、大多数の人が、充電ケーブルと充電器を利用していると思いますが、この充電ケーブルと充電器にも数々の問題があります。

・価格が高い純正品と価格が安い非純正品(サードパーティ製)
ケーブルや充電器には、製品メーカーの純正品とサードパーティ製があります。サードパーティ製は純正品よりも安いといった点が人気です。充電器については、“ただ充電するだけのもの”ではなく、純正品にはない多機能なものも多く、低価格なだけでなくそうした点も人気の要因になっています。

以前は専門店などでしか手に入らなかったのですが、最近ではネット通販や量販店などでも入手できるようになっており、誰でも手軽に購入して利用できるようになってきました。

しかし、このサードパーティ製のケーブルや充電器は、製造メーカーなどにより製品の品質にバラツキも多く、安全基準を満たしていないケースも多々あります。


■原因2 バッテリー
スマートフォンで使われている充電池はリチウムイオン電池が使われています。下記にあるように他の充電池より優れている点が多くあり、スマートフォンをはじめ多くの電子機器に使われています。

1.小型でありながら大容量の電気を蓄えられる
2.軽量
3.高速充電が可能
4.自己放電が少ない
5.カドミウムのような有害物質を含まない
6.メモリー効果※が小さい
7.使用可能な温度帯が広い
※ 電池を完全に使い切らずに充放電を繰り返すと、通常よりも使用時間が極端に少なくなる現象。ニカド電池やニッケル水素電池で顕著にあらわれる

この便利で優れたリチウムイオン電池ですが、実はかなりデリケートな製品なので、電圧が上がる充電時などでは、充電電圧を監視してコントロールすることが必要となります。

コントロールに不備が発生すると過度の充電となり発熱し、最悪、発火などの事故が発生する可能性があります。通常の電池パックは、過充電や過放電を防ぐ安全機構を内蔵して安全に使えるようになっています。

電池パックに関してもケーブルや充電器と同様に、人気の機種ではメーカー純正品のほかに安価で大容量のサードパーティ製品がネット通販などで簡単に手に入りやすくなっており、利用している人もいるかと思います。


■純正品だから安心ということではない 自分でできる対策
価格も高いし、検査もされているだろうから純正品を利用していれば大丈夫と思いたいところですが、そもそもバッテリーや充電関連アイテムは、消耗品であるため、使い始めは問題なくても利用中になにかしらの不具合が発生してもおかしくありません。純正品と言えど100%安全とは言えないのが悩ましいところです。

では、どうやって安全を確保すればいいのか?

■充電する際の注意
充電したまま放置するのはなるべく避けて、必ず手が届く範囲で利用するようにしましょう。特にサードパーティ製品の場合は、充電したまま就寝したり、充電したまま外出したり、長時間その場を離なれたりといった行動は避けた方がいいでしょう。

■ケーブルは消耗品
ケーブルは、端子部分と端子部分の付け根が破損しやすい製品です。充電中にスマーフォン本体を倒したりすると端子が変形したり破損したり、ケーブルの付け根部分が断線したりするケースがあります。

純正品・サードパーティ製に限らず、充電したまま利用したり、モバイルバッテリーで充電したままカバンに入れておいたりする場面が多いので、繰り返して利用するケーブルが破損する可能性が決して低くありません。

破損したケーブルを使用するとバッテリーに負荷がかかるので、本体の発熱やケーブルに違和感があれば早めに新しいものと交換するようにしましょう。

■サードパーティ製品を購入する時に注意する点
既存の購入者のレビューや評価をチェックしましょう。ただし、出荷時期によって品質が変更するケースも少なくなりませんので、レビューや評価された時期が最近かどうかも確認したほうがいいでしょう。また、価格が安くてもレビューや評価がない製品は、安易に購入せずに再検討しましょう。


便利なスマートフォンですが、充電は避けて通れません。何もなければ安全なものですが、電気を扱うことは少なからず潜在的に危険が伴うことも認識する必要があります。

サードパーティ製は国内の老舗メーカーも多く、国内製品として販売されてきましたが、最近では海外からの輸入品を国内で販売されるケースも増えてきています。国内メーカーの場合は、自社で厳しい検査基準を設け試験や検証して安全に利用できるよう努めている製品が多く、ほとんどの場合は、安全に利用できることでしょう。

しかし、電子機器の場合は、個体差や機器間での相性という問題もあり、完全に解決することは難しく、メーカーも推奨機器以外での安全性は保証できないという対応に変化してきています。

メーカーの保証対象外での利用では、なにかのきっかけで万が一事故が発生した場合、メーカーの保証を求められないだけでなく、大きな被害となる可能性もあるので、利用者としては、安全を過信せずに、事故が起きた際の対策や危険を回避する対策をしながら賢く利用していく必要はあるでしょう。