スマホやデジカメで防水・防塵性能を表すIPXって何?
今日から8月、いよいよ夏本番に突入です。夏休みシーズンといえば行楽地、海やプール、また各地でのお祭りなど、家族や友達、恋人と過ごすなど、アウトドアでの活動が増える時期です。
そうしたアウトドアライフをより楽しむために、普段は街中で使っているスマートフォン(スマホ)やコンパクトデジタルカメラ(以下、コンデジ)を持って行くケースも増えることでしょう。また、この機会にスマホやコンデジを新たに買い替えたり、買い足したりする人も多いでしょう。
普段の利用シーンはもちろんですが、アウトドアライフにあったら嬉しい機能の一つが “防水・防塵(ぼうじん)”です。
コンデジ市場では、以前からオリンパスやカシオといったメーカーが防水・防塵性能を積極的に採用して“タフネス”な製品を展開しています。一方で、スマホは国内メーカーを中心に、ソニーモバイルコミュニケーションズ製のXperia A、XPERIA ULやHTC製のHTC J butterflyeなどグローバルで展開もしている製品にも防水や防塵に対応した製品も増えており、もはや標準機能の一つになりつつあります。
しかし、一言で防水や防塵と言っても、その性能には大きな違いがあることを知っていますか?
製品のカタログなどには防水・防塵の性能を表す「IPX○/IP○X」という、なにやら小難しい表記が必ず書いてあります。そもそもこのIPなんちゃらって、どう読んだらいいのか?どんな意味があるのか?知らない人も多いのではないでしょうか。
■IPXってなに?
カタログには、防水・防塵性能を表す表記として「IPX5/IPX7等級」などと記されます。このIPXとは、IEC(International Electrotechnical Commissionの略:国際電気標準会議)で標準化されている「エンクロージャによる保護等級(IEC 60529)」に規定された規格です。
以前は異なる保護等級を規定していたJIS(Japanese Industrial Standardsの略:日本工業規格)においても統一化が図られた規格で、電気機械器具への異物侵入に対する保護の程度を「IP(アイピー)コード」で表しています。
International Protectionを意味するIPコードですが、表記方法は『IP○△』となり、○の部分が防塵の等級を表す「第一特性数字」、△の部分が防水の等級を表す「第二特性数字」として各等級の数字が入ります。例えば、防塵性能が6級、防水性能が8級の場合、『IP68』という表記になります。
スマホや従来型の携帯電話でよく見かける『IPX』と表記される場合の『X』については、便宜上『X』に置き換えて表記されています。つまり、防塵性能がない場合、防塵等級のテストをクリアしていない場合、もしくは防水性能だけを表記したい場合に防塵等級を数字ではなく『X』を用いているということです。逆に防塵性能のみを表す場合に「IP6X」といったように防水等級の部分に『X』を用いて表記します。
■等級による違い
前置きはともかく、一番肝心な等級の違いを知っておきましょう。防塵性能を表す第一特性数字は6まであります。つまり、防塵性能には6つの段階があります。最近では5以上に対応している製品が増えてきました。
0:特に保護されていない。(無保護)
1:直径50mmを超える固形物体が内部に侵入しない。
2:直径12.5mmを超える固形物体が内部に侵入しない。
3:直径または厚さが2.5mmを超える工具やワイヤなどの固形物体が内部に侵入しない。
4:直径または厚さが1.0mmを超える工具やワイヤなどの固形物体が内部に侵入しない。
5:粉塵が内部に侵入することを防止する。(防塵型)
6:粉塵が内部に侵入しない。(耐塵型)
防水性能を表す第一特性数字は8まであります。防塵性能の等級とは異なり8段階あります。最近では7以上に対応している製品が増えてきました。
0:特に保護されていない。(無保護)
1:鉛直に落下する水滴によって有害な影響を受けない。
2:正常な取付位置より15度以内の範囲で傾斜したとき、鉛直に落下する水滴によって有害な影響を受けない。
3:鉛直から60度以内の噴霧上に落下する水によって有害な影響を受けない
4:あらゆる方向からの水の飛沫によっても有害な影響を受けない。
5:あらゆる方向からの水の直接噴流によっても有害な影響を受けない。
6:波浪または、あらゆる方向からの水の強い直接噴流によっても有害な影響を受けない。7:一定の圧力や時間で水中に浸漬しても有害な影響を受けない。
8:連続的に水中に浸漬しても有害な影響を受けない。原則として完全密閉構造。
等級の内容を見ると、数字がより大きいものが保護の程度が高くなるということになります。また、これら防水・防塵性能以外にも、製造メーカーによって耐熱、耐寒、耐衝撃などによる保護、耐久試験を実施している製品もあります。
■実際に使ってみた
防水や防塵性能が採用されていても、保護等級により利用できるシーンが異なります。例えば、海では、海水には不純物が混入しています。砂浜には非常に細かな砂があり、機器の重要な部分に侵入してしまえば動作に影響を及ぼします。
防水・防塵の等級をしっかり確認した上で使わないこと、あっさり水没して電源が入らなくなった、壊れちゃった、なんてことになります。
今回は、富士フイルム製の「FinePix XP200」を持って海に行ってみました。保護等級を示すIPコードは「IP68」とトップレベルに準拠しています。さらに、「2m耐衝撃機能」や「-10°C耐寒機能」を備えた、まさにタフネスなコンデジです。
実際に海で利用したところ、砂浜や水中でも問題なく動作しました。残念ながら海中が綺麗ではなかったので水中撮影はそれほど楽しめませんが、海水や砂を気にすることなく利用できます。浜辺で利用した後は、水洗いして乾かせば問題ありません。使い終わったら水洗いという、とても電子機器を扱っているとは思えない便利さです。
防水・防塵は必須の機能とは思わないという人もいるかと思いますが、私たちの生活には、キッチンや飲み物がはいったグラス、お風呂、夕立やゲリラ豪雨など、驚くほど「水」と接する機会があります。そうした突発的なシーンでも安心して使えるので、防水や防塵性能があれば利用シーンを広げてくれることは間違いありません。
・JISC 日本工業標準調査会
http://www.jisc.go.jp/
・XP200 / FinePix XP200 | 富士フイルム
http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/xp/finepix_xp200/
そうしたアウトドアライフをより楽しむために、普段は街中で使っているスマートフォン(スマホ)やコンパクトデジタルカメラ(以下、コンデジ)を持って行くケースも増えることでしょう。また、この機会にスマホやコンデジを新たに買い替えたり、買い足したりする人も多いでしょう。
普段の利用シーンはもちろんですが、アウトドアライフにあったら嬉しい機能の一つが “防水・防塵(ぼうじん)”です。
コンデジ市場では、以前からオリンパスやカシオといったメーカーが防水・防塵性能を積極的に採用して“タフネス”な製品を展開しています。一方で、スマホは国内メーカーを中心に、ソニーモバイルコミュニケーションズ製のXperia A、XPERIA ULやHTC製のHTC J butterflyeなどグローバルで展開もしている製品にも防水や防塵に対応した製品も増えており、もはや標準機能の一つになりつつあります。
しかし、一言で防水や防塵と言っても、その性能には大きな違いがあることを知っていますか?
製品のカタログなどには防水・防塵の性能を表す「IPX○/IP○X」という、なにやら小難しい表記が必ず書いてあります。そもそもこのIPなんちゃらって、どう読んだらいいのか?どんな意味があるのか?知らない人も多いのではないでしょうか。
■IPXってなに?
カタログには、防水・防塵性能を表す表記として「IPX5/IPX7等級」などと記されます。このIPXとは、IEC(International Electrotechnical Commissionの略:国際電気標準会議)で標準化されている「エンクロージャによる保護等級(IEC 60529)」に規定された規格です。
以前は異なる保護等級を規定していたJIS(Japanese Industrial Standardsの略:日本工業規格)においても統一化が図られた規格で、電気機械器具への異物侵入に対する保護の程度を「IP(アイピー)コード」で表しています。
International Protectionを意味するIPコードですが、表記方法は『IP○△』となり、○の部分が防塵の等級を表す「第一特性数字」、△の部分が防水の等級を表す「第二特性数字」として各等級の数字が入ります。例えば、防塵性能が6級、防水性能が8級の場合、『IP68』という表記になります。
スマホや従来型の携帯電話でよく見かける『IPX』と表記される場合の『X』については、便宜上『X』に置き換えて表記されています。つまり、防塵性能がない場合、防塵等級のテストをクリアしていない場合、もしくは防水性能だけを表記したい場合に防塵等級を数字ではなく『X』を用いているということです。逆に防塵性能のみを表す場合に「IP6X」といったように防水等級の部分に『X』を用いて表記します。
■等級による違い
前置きはともかく、一番肝心な等級の違いを知っておきましょう。防塵性能を表す第一特性数字は6まであります。つまり、防塵性能には6つの段階があります。最近では5以上に対応している製品が増えてきました。
0:特に保護されていない。(無保護)
1:直径50mmを超える固形物体が内部に侵入しない。
2:直径12.5mmを超える固形物体が内部に侵入しない。
3:直径または厚さが2.5mmを超える工具やワイヤなどの固形物体が内部に侵入しない。
4:直径または厚さが1.0mmを超える工具やワイヤなどの固形物体が内部に侵入しない。
5:粉塵が内部に侵入することを防止する。(防塵型)
6:粉塵が内部に侵入しない。(耐塵型)
防水性能を表す第一特性数字は8まであります。防塵性能の等級とは異なり8段階あります。最近では7以上に対応している製品が増えてきました。
0:特に保護されていない。(無保護)
1:鉛直に落下する水滴によって有害な影響を受けない。
2:正常な取付位置より15度以内の範囲で傾斜したとき、鉛直に落下する水滴によって有害な影響を受けない。
3:鉛直から60度以内の噴霧上に落下する水によって有害な影響を受けない
4:あらゆる方向からの水の飛沫によっても有害な影響を受けない。
5:あらゆる方向からの水の直接噴流によっても有害な影響を受けない。
6:波浪または、あらゆる方向からの水の強い直接噴流によっても有害な影響を受けない。7:一定の圧力や時間で水中に浸漬しても有害な影響を受けない。
8:連続的に水中に浸漬しても有害な影響を受けない。原則として完全密閉構造。
等級の内容を見ると、数字がより大きいものが保護の程度が高くなるということになります。また、これら防水・防塵性能以外にも、製造メーカーによって耐熱、耐寒、耐衝撃などによる保護、耐久試験を実施している製品もあります。
■実際に使ってみた
防水や防塵性能が採用されていても、保護等級により利用できるシーンが異なります。例えば、海では、海水には不純物が混入しています。砂浜には非常に細かな砂があり、機器の重要な部分に侵入してしまえば動作に影響を及ぼします。
防水・防塵の等級をしっかり確認した上で使わないこと、あっさり水没して電源が入らなくなった、壊れちゃった、なんてことになります。
今回は、富士フイルム製の「FinePix XP200」を持って海に行ってみました。保護等級を示すIPコードは「IP68」とトップレベルに準拠しています。さらに、「2m耐衝撃機能」や「-10°C耐寒機能」を備えた、まさにタフネスなコンデジです。
実際に海で利用したところ、砂浜や水中でも問題なく動作しました。残念ながら海中が綺麗ではなかったので水中撮影はそれほど楽しめませんが、海水や砂を気にすることなく利用できます。浜辺で利用した後は、水洗いして乾かせば問題ありません。使い終わったら水洗いという、とても電子機器を扱っているとは思えない便利さです。
防水・防塵は必須の機能とは思わないという人もいるかと思いますが、私たちの生活には、キッチンや飲み物がはいったグラス、お風呂、夕立やゲリラ豪雨など、驚くほど「水」と接する機会があります。そうした突発的なシーンでも安心して使えるので、防水や防塵性能があれば利用シーンを広げてくれることは間違いありません。
・JISC 日本工業標準調査会
http://www.jisc.go.jp/
・XP200 / FinePix XP200 | 富士フイルム
http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/xp/finepix_xp200/