開始早々のFKからの失点。そして、攻め込みながらも同点に追いつけず、逆にまたしてもセットプレーから失点。しかもオウンゴール……。ホームの試合では初めて完封で敗れたブルガリア戦。一夜明けた5月31日、日本代表は豊田市内で練習を行った。

 試合に45分以上出場した選手はランニングなどの軽いダウンメニューを消化し、それ以外の選手は少人数ながらボールを使ってのトレーニングを実施。強い日差し中で汗を流した。ダウンメニュー組はリラックスした雰囲気を漂わせていたけれど、取材陣の前に姿を見せた選手たちの表情にはまだ硬さが残っているように見えた。そして、昨日の試合後は、ペン記者のエリアでは取材応対をしなかった長友が語り始める。

――昨日の試合について。 
「昨日の試合では、僕自身もそうだし、チームとしてもそうだったけれど、すべてのパフォーマンスに失望したというか……。本当にこれで世界と戦えるのか? 正直難しいっていうのを感じたので。そういった悔しさがちょっと出て、昨日の試合後はしゃべる気になれなかった。
 ホテルへ戻って、考えてみましたけど、今の日本代表は厳しさやハングリーさ、あとは、勝利に対して貪欲な気持ちや、本当にどれだけの選手が世界のトップを目指しているのかというところで、そういった部分が足りないなと。それは僕自身もそうだし、チーム全体もそうだし、そういう部分から考えなおさないと本当の意味での成長は、正直ないと思っている」

――昨日2点のビハインドの状態で、いかに点をとるか、勝つために何をするかというオプションがなかったように感じたが。
「僕は勝つために貪欲になりたいな、と。もちろん内容を求めていきたいというのはあるけど。やっぱり勝たなければいけない。日本代表の日の丸を背負っている以上は、ね。たくさんの子どもたちが見ているし、正直(昨日は)すごく恥ずかしかった。うん、自分自身すごく情けなくて。まあ、本当に多くの方に応援してもらっているのに。悔しかった」

――コンディションも万全だったわけではないと思うが、強いチームなら悪いなりにも勝ちきれるのでは?
「そうですね。結局は日本代表はまだ世界の仲間入りはできていないのかなというのは、そういうところからわかりますよね。本当に強いチームなら勝ちきるし、まあ、どんなコンディションでも負けることはないのかな? と。ここのところ、負けが続いているけれど、本当に強いチームならそういうことはない」

――気持ちの強さだけでなく、クレバーさなども必要では?
そう、クレバーさとか、ハングリーさ。そういう部分はむこう(ブルガリア)のほうがあったからね。コンディションはむこうのほうが悪かったのに。だから、僕らは学ばされたなと。正直W杯まではあと1年しかない。そこを見据えてやっていくうえで、どれだけの選手が本気になっているのか? お祭りでいくわけじゃないので。本当に勝つためにいくので。ちょっと気を引き締めたいなと。

――選手たちの意識改革が必要か?
しなければいけないというのは正直に思う。もう、少し手遅れに……このままだとなりそうだと。

――去年秋にブラジルと対戦したあと「ここから進化していく。自分たちには伸び代がある」と興奮や手ごたえを語っていたが……。
「あのときは、本当にまだまだやるべきことが多いと感じて、世界へ向けたモチベーションがみんな高かったと思うけど、今は実際、あの時のモチベーションがどれだけあるかっていう。僕も含めてね。ちょっと忘れかけているんじゃないかと、正直思うので。今、このチームでコンフェデを戦うと思うと、全敗しますよ。だからこそ、今ちょっと考えなおさなくちゃいけない。僕自身も含めて」