さて、1年半に渡って戦って来たブラジルW杯アジア最終予選、大詰めの一番であるヨルダン戦がやって来た。

日本はここまで2位に勝ち点8差で大きくリードしているとは言え、残り2試合がホームでのオーストラリア、アウェイのイラクと簡単でない試合を残しており、イラク戦から5日後には地球の真裏でコンフェデのブラジル戦をこなさないといけない事を考えると、ここで是非ともW杯切符を手にしておきたい。

そのヨルダン戦だが、まあ事前の報道や会見でも散々述べられているように、日本にとって簡単な試合にならない事は間違いない。目下のライバルであるオーストラリアがホームの試合を2つ残している事を考えると、1試合消化が多いヨルダンが勝ち抜くためには日本戦での勝利が必須であり、試合開始からフルパワーで攻撃をして来るだろう。

従って、日本としてはまずその勢いにどう対抗するかを考えないといけない。具体的な方針としては大きく分けて2つあり、1つは低めにコンパクトなゾーンを引いて、相手の攻撃をしっかり受け止めてからカウンターを仕掛ける方法。そしてもう1つは、ラインを下げずにポゼッションを保ち続けるようにする方法。

ピッチがデコボコでパスワークが出来ないのであれば、前者の方法が有効に思えてしまうのだが、それより怖いのはラインを下げる事でPAの中や近い位置で「中東の笛」によってファールを取られてしまう事。また、自陣ゴール前でのプレイが増えると、イレギュラーバウンドで思わぬ方向へとプレゼントが送られてしまう可能性も高くなるので、出来ればラインは上げておきたいところ。

そうなると後者の方法をいかにして実現するかという話になるのだが、やはりパスワークでのポゼッションが難しいとなると、ポストプレイヤーを置いて個人のキープ力で時間を稼ぐしか無い。従って、本田が欠場している現状では、前田よりはハーフナー・マイクが1トップのファーストチョイスになるのではないだろうか。高さの有る彼がフリックで勝ち、そこに香川や岡崎が絡んで裏に抜け出す事が出来れば、得点にならなくても相手のラインを下げさせる事が出来、セカンドボール争いで優位に立てるようになる。

ただ、闇雲に前へと蹴り出してしまってはかえって無駄に前線を走らせて逆効果になるので、ボールを奪った後は中盤との間でパスを交換して相手のファーストプレスを回避し、タイミングとコースを整えてからフィードしないといけない。その意味で鍵になりそうなのが中村憲剛の働き。トップ下の彼が中盤をフォローしてパス交換でプレスをいなしつつ、内田や今野が高めの位置まで上がってからパスが出せるようになれば組み立てが随分楽になるはず。

とは言え、ヨルダンが90分間プレスをかけ続けて来る事はまずあり得ない。もしヨルダンが先制点を奪ったら当然そうなるが、どこかで必ずペースを落とし、引いて守ってカウンター狙いに切り替えるはず。ヨルダンの守備陣はボールウォッチャーになりがちである事はスカウティングで判明しているらしいので、そこからのプランは日本得意のSBが絡んだサイド攻撃という事になる。

ヨルダンにしてみたら、ゴール前で立って待っているマイクよりも、DFのギャップにタイミングを計って飛び込んで来る前田のほうが嫌なのではないかと思う。戦況によってはマイクと前田の2トップも有るかもしれない。乾のドリブルというオプションもあるだろう。もちろん、日本がきっちり先制点を取って、清武や細貝を入れつつ逃げ切る展開であって欲しいところだが。

何だかんだで色々長々と書いてきたが、これらはあくまで相手への策を第一に考えたプランであり、まずは自分達本来の形、つまりはカナダ戦の先発でスタートする可能性は十分にあると思う。何はともあれ、先発メンバーの発表を楽しみに待つ事にしよう。