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[読了時間: 2分]

 ベネッセの幼児向け教材「こどもちゃれんじ ぽけっと」に「おしゃべりきらりん」というデバイス付き教材が提供されていて、その性能と可能性に驚いた。

 黄色のデバイスがいわば “読取り機” となっており、教材をタッチすることで、その部分に対応したインタラクティブな音声が再生される仕組み。

 この手のデバイスは、装置内に音声が多数録音されていて、簡単な識別によって (黒とか白とか) 所定の音声が再生されるようなものや、QRコード(二次元バーコード)を応用したものが想像できるが、この「おしゃべりきらりん」は違う。

 教材のイラスト等にコード等は印刷されておらず、どんな細い箇所をタッチしても驚くほどの精度で音声が再生されるのだ。

印刷物に数十キロバイトの情報を埋め込み、セキュリティ用途も有望


 その技術は「スクリーンコード」という。技術を開発したのは、日本のアポロジャパン。

 これは印刷物の任意の箇所に数十キロバイトの情報を埋め込むことができる技術。しかも、印刷物の品質は、パっと見、一般の印刷物と差がない。

 その精度と、印刷クオリティの遜色のなさを以下の動画で確認していただければと思う。

 いわゆる電子透かしの進化版とも言えるこの技術。QRコードのように枠が必要でもなく、RFIDのようにコストがかかるわけでもない。何より、印刷物の中に数十キロという情報を埋め込めることで応用の幅は限りない。

 デバイスについてだが、ベネッセで提供されたのは独自設計のデバイス。アポロジャパンから汎用デバイスがリリースされている。また、ソフトウェアとして組み込むことも可能。センサーの部分の工夫は必要だが、スマートフォンなどへの応用も期待できる。

(追記:紙に音声データが埋め込まれているとの記載しましたが、「おしゃべりきらりん」の場合は端末内に音声データが保存されているとのことで訂正いたしました。)

【関連URL】
・株式会社アポロジャパン
http://apollo-japan.ne.jp/index.html
・人生のすべてを記録するカメラ「MEMOTO」 【増田 @maskin】
http://techwave.jp/archives/51766611.html

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蛇足:僕はこう思ったッス
この技術、どこが開発しているか調査をしている時に、開発者とまさに奇跡的な出会いを果たした。僕にとってIT x リアルの夢の技術のように写った。
印刷物のドットを読みとる技術といえば北欧のアノト社が記憶に新しい。ただ、アノトの場合、紙からペンまで一式揃わないと使用できない技術だった。スクリーンコードはソフトで複合すればいいだけ。普及には安価な読取機が鍵になるだろうが、スマホ対応などで一気に拡大する可能性もある。

著者プロフィール:TechWave 編集長・イマジニア 増田(maskin)真樹
変化し続ける高エネルギー生命体。8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。道具としてのIT/ネットを追求し、日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。1990年代はソフト/ハード開発&マーケティング→週刊アスキーなど多数のIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーで証券情報サービスベンチャーの起業に参画。帰国後、ネットエイジ等で複数のスタートアップに関与。関心空間、@cosme、ニフティやソニーなどのブログ&SNS国内展開に広く関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。 Rick Smolanの24hours in CyberSpaceの数少ない日本人被写体として現MITメディアラボ所長 伊藤穣一氏らと出演。活動タグは創出・スタートアップマーケティング・音楽・子ども・グローカル・共感 (現在、書籍「共感資本主義」「リーンスタートアップ」執筆中)。@宇都宮ー地方から全国、世界へを体現中。

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