「今年の祇園さん、雰囲気変わったんと違うか?」
 関西を中心に夏祭りに“異変”が起きている。祭りにつきものの、露店、屋台が、暴力団排除条例の余波で激減しているからだ。
 たとえば、7月14〜17日まで行われた祇園祭の露店に関わる『五条露店組合』によれば、「昨年に比べて約200店の減少」という。
 これは祇園祭山鉾連合会が6月22日に行った「暴力団排除宣言」を受け、京都府警が露店数の制限に乗りだしたからなのである。

 府警担当記者が言う。
 「表向きは『明石市の花火大会事故を踏まえた雑踏事故の防止』となっているが、テキ屋狙いなのは明らか。通行の安全だけなら、一昨年から実施している規制強化で十分だからです。マル暴系のテキ屋を一掃しようというのが本音でしょう」

 そのためか、一方のテキ屋たちは青息吐息。
 「今年は規制で店を出せなかった。通行の安全確保やというけど、そんならなんで地元飲食店の軒先営業がオッケーなんや。どう見てもワシらの締め出しやないか」(金魚すくいの露店商)
 また別の露店商も「確かにシノギではあるけども、祭りの雰囲気を盛り上げているという誇りは持っている。そこらをもう少しわかってほしい」と嘆く。

 だが、被害者を気取るテキ屋連に対し、見物客らは、例年ならごった返す四条通りのスムーズな流れを横目に、「雰囲気がよくなった」「そぞろ歩きが楽しめる」と歓迎ムード。今後は近隣の祭りにも波及しそうな雲行きなのだ。
 「テキ屋の出店制限は、すでに祇園祭とともに関西の夏を彩る、大阪・天神祭でも決まっている。今後は大きな祭りからテキ屋が締め出されるケースが増えるでしょうが、問題になりだしているのは小さな祭りなのです」(地元紙記者)

 実際、尼崎市の某地域の夏祭りは、例年なら二桁集まる露店が、今年は3店しか集まらなかったという。
 同夏祭りの責任者は「今後はボランティア主体のイベントで祭りを盛り上げるしかない」と語るが、祭りの繁栄と衰退に暴排条例は大きく影響を及ぼしそうだ。