[Ina Fassbender / Reuters]

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欧州リーグがシーズンの終わりを迎え、ストーブリーグの話題も活発になってきた。特に日本でも大きく報道されているのが香川真司の去就だ。ドルトムントに残るか、マンチェスター・ユナイテッドに移籍するか、はたまた違うクラブか。連日のように記事が出ているね。
 
香川はドルトムントで連覇を達成し、クロップ監督との関係も良好だ。チームメイトとの連係という面でも完全に構築されている。ドルトムントに残れば来季のチャンピオンズリーグに出られるわけだから、残留するという選択肢を支持する声も少なくない。

しかし、僕は基本的にプロ選手はお金こそが評価のすべてだと思っている。だから本当にマンUから報道にあるような移籍金と年俸のオファーがきているのであれば、迷わず行くべきだと思うね。プロというのはそういうものじゃないかな。そこでレギュラーを取れなければ、それまでの選手ということだ。自分を高く評価してくれるところへ行き、期待に応え、またさらに高い評価をしてもらう。シビアであり、ハイリスクであり、ほんの一握りの選手しか成功者になれないが、だからこそプロは観衆を魅了する。いずれにせよ、香川には日本代表のためにもがんばってもらいたいね。

また、日本から新たに海外へ渡る話題も出てきた。C大阪の清武弘嗣がニュルンベルクへの移籍で合意に達したと、ドイツ紙で報じられた。昨今、日本の優秀な、若い選手たちが、こぞって欧州へ移籍している。より高いレベルに挑戦する、という大義はキレイだけれど、Jリーグという観点から見ると、手放しで喜べる状況ではない。移籍する選手のほとんどはタダか、それ同然で持っていかれているね。そしてそれが一因となり、Jリーグのレベルは間違いなく下がっている。順位表はお団子状態であり、各チームの成績は乱高下だ。

海外クラブからすれば、年俸数千万円は安いものだ。激安価格で、素材もそれなりのものが置いてある日本の市場は、お買い物にうってつけだろうね。けれどこれまでのようにただの激安市場では、そのうち立ち行かなくなってくる。プロ的な経営とビジョンで各Jリーグクラブが海外クラブと肩を並べ、きちんとしたビジネスができるようにしなければ、さらなる地盤沈下が待っているよ。

香川の移籍報道に一喜一憂するのもいいけど、注目すべきは欧州ではなくて自分たちの市場じゃないかな。