インタビュー:木村文乃「人間にとって根本的に大事なもの」
――中村監督の現場は、他と比べて違いを感じることはありましたか?
木村:やっぱりメリハリがすごくあるなと思いました。思い切り明るい所は明るく、締める所は締めて。でも、敢えてシリアスなシーンの時に冗談を言ったりもするんですよね。私が中村監督について語るには、8日間の撮影期間ではあまりにも時間が足りないんですけど、役者をすごく信頼してくれている人だというのが伝わってきました。だからこそ「自由にやっていいよ」とも言うし、「こうして」という指示をするんじゃなくて、「なんかあるじゃん、ああいう感じの」という言い方をする感じで(笑)。とても愛のある監督だと思いました。――緊張と緩和の撮影現場で何か面白かったことはありましたか?
木村:緩和で言えば、撮影場所も部屋の中とか、実際に住まわれている家をお借りしたのですが、音が入ってしまうので撮影中は空調を止めなきゃいけないんです。今回、本当に時間が無かったので、ほぼ止めたままでの撮影だったんですね。もう、みんなが汗だくな訳です。気が付いたら、監督やスタッフさんが朝とは違うTシャツを着ているんですね。「あれ?」と思ったら、「今日は2枚目」「3枚目」とか話してて。1日1枚のTシャツじゃ足りないから、何枚も着替えたり。それをみんなでネタにしてるのも面白いなって(笑)。――今回演じられた若葉は、濱田さん演じる今村に対して、割と自分の意見をズバズバとハッキリと主張する、口調が強めのキャラクターの印象を受けましたが、普段の自分と比べてみて如何ですか?
木村:若葉は普段の自分に近いです。今まで、大人しかったり、お嬢様だったり、気の弱い役をやらせてもらうことが多かったんですけど、私自身はどちらかというとサバサバしているタイプの人間なので。それは、中村監督と濱田さんと『ポテチ』という作品に関われたから気付けたことでもあります。――木村さんご自身が、周りの人からよく言われることはありますか?
木村:「変!」って言われますね。たとえば、みんなが「右に行く」と言ったら、左に行きたくなることとか(笑)。――それは意識的にそうしているんですか? それとも無意識で?
木村:最初の言い始めは無意識なんですけど、「じゃあ、なんで私は左に行きたかったんだろう?」って、選んだ理由を意識的に考えることはあります。――自己紹介するとしたら、自分のことをどのように紹介しますか?
木村:「扱いにくい」かもしれません。でも、ツボさえつかんでいただければわかりやすい性格だと思います。――濱田さんの印象は如何でしたか?
木村:濱田さんは、もう本当に作品の中のキャラクターそのままのナチュラルな方ですね。私は初めての現場だし、結構気を張っていた部分もあったんですけど、撮影中も中村監督との絶妙なやりとりがすごく面白くて。2人が交わしている会話が、真剣なんだけど、すごく面白いんです。多分、真剣に冗談を言い合っていると思うんですよね。最初、そのノリが分からなくて、「これは本当なんだろうか? 冗談なんだろうか?」と思ったことが何度もあったんですけど、後半になるにつれて、そうやって良い意味で休憩しつつ、また気を引き締めていこうという感じが分かってきて。そういう監督と役者の関係って良いなと思いました。次のページ:よく聴く音楽はスローテンポとか、暗い曲