今年もいよいよ終わりに近づいている。2011年は、まさに激動の一年だったね。

東日本大震災は、サッカー界にも大きな影響を与えた。Jリーグのスケジュールは後ろ倒しとなり、コパ・アメリカ出場は辞退した。3月29日に行われたチャリティマッチと、それを実現させたサッカー協会の動きは素晴らしいと思ったが、コパ・アメリカ辞退についてはとても残念だったね。

原発事故は収束の目処が立たず、そういう意味で震災はまだ終わっていない。サッカー界も今月23日に仙台でチャリティマッチを行った。被災地支援というのは、いかに継続していくかがもっとも重要だから、こうした動きによって震災がまだ終わっていないという意識が波及していくといいね。何事も、一発の打ち上げ花火、一過性ではダメなんだ。

一過性といえば黙っていられないのが、メディアの体質だ。それは今年も顕著だった。なでしこジャパンのW杯優勝は歴史的快挙であることは間違いない。しかし過剰な報道が、事の本質を見誤らせているように思える。メディア側としては来年のロンドン五輪まで賞味期限が持てばいいのだろうけど、サッカー文化として考えたときに、彼女たちはもっと違う扱い方があったのではないかと思ってしまうね。

クラブW杯だってそうだ。メッシ対ネイマールという煽り方は、まるでサッカーの本質を捉えていない。お笑い芸人を並べる意味もわからないね。サッカーに限らず、日本のスポーツ番組は、報道ではなくバラエティコンテンツになっているよね。ものの本質よりも視聴率が優先される考え方の上では、スポーツの真の文化など育たないことを、年の瀬の今、改めて言っておきたい。