3日後、11月3日からいよいよクライマックスシリーズ・ファイナルステージが開幕する。ファイナルステージは6試合制の4先勝で日本シリーズに駒を進めることができる。だがリーグ優勝のホークスには1勝のアドバンテージが与えられるため、初戦はホークスの1勝という状況でスタートする。そのためライオンズは何が何でも初戦を落とすわけには行かない。もし初戦を落とすようなことがあれば、その時点でホークスの2勝という状況になってしまう。

ファイナルステージ、予想されるライオンズの先発は初戦帆足和幸投手、2戦目岸孝之投手、3戦目涌井秀章投手、4戦目が西口文也投手だ。これに対しホークスも和田・杉内・攝津3投手を中心にし、万全の先発陣をぶつけてくるのだろう。ファイターズ・ダルビッシュ投手との戦い同等に、タフな試合が予想される。

しかもホークスにはライオンズのすべてを知り尽くした細川亨捕手が在籍している。細川捕手の存在がライオンズ打線を苦しめることは、シーズン同様に予想されるところだ。新聞などのコメントを見る限りでは、ライオンズ打線の内角をどんどん突いてくる、というようなことを話しているようだ。しかし細川捕手は捕手だ。このコメントを鵜呑みにすることはできない。このようなコメントを残し、ライオンズ打線に必要以上に内角を意識させ、逆に外角で勝負してくる、なんていうことも考えられるからだ。とにかく敵の捕手が言う言葉は決して信じてはならない。

ダルビッシュ投手のように、強烈なツーシームを内角に投げ込んでくる投手がいれば別だが、ホークスのエース格である和田投手と杉内投手は共にサウスポーだ。クロスファイアーということを考えても、150km近いスピードで食い込んでくるダルビッシュ投手のツーシームよりは対処しやすいはずだ。とはいえ和田投手や杉内投手のボールの切れは並ではない。まさに球界を代表するサウスポー2人だ。例え2人の調子が悪かったとしても、一筋縄では行かない相手だ。

ライオンズ打線がこの2人のサウスポーを攻略するためには、ライオンズの代名詞である長打を捨てる勇気も必要だ。サウスポーのクロスファイアー気味のボールを右打者が引っ張っても、バットの先っぽで引っ掛けてしまうだけだ。短期決戦ではとにかくそれだけは避けたい。広い福岡ドームということを考えれば、やはり右打者はサウスポーの食い込んでくるボールは、ライト方向に逆らわずに返していくという意識がレギュラーシーズン以上に大事になってくるだろう。

右打者が反対方向に打っても、ライオンズの場合中島裕之選手・中村剛也選手・フェルナンデス選手はいずれもセンターからライト方面に長打を打てる能力を持っている。例えば単純に考えて栗山巧選手が出塁し、原拓也選手で送ることができれば、クリーンナップトリオのどこかで1点は取れる可能性が上がる。極端な話、ホームランは必要ないのだ。走者二塁で右中間に転がすことができれば、それで1点を奪うことができる。

ファーストステージの終盤に関して言えば大量点差となったが、それまでは2試合とも1点を争う厳しい試合展開が続いた。それを考えると、やはりファイナルステージもそうなる可能性が高いだろう。1点を取れるか取れないか。1点を取られるか防げるか。もちろん走者をためてホームランが出れば最高だが、しかし確率を考えればホームランが出るよりも、ヒットが出る確率の方がずっと高い。打たれたピッチャーからしても、ホームランならば一度リセットすることができるが、ヒットを繋がれると走者が還ってもまだピンチが続くため、精神的疲労が強まる。そしてその精神的疲労は、短期決戦であればなおさら大きくなる。

先発だけではなく、ブルペン陣の精神的疲労も引き出しておければ、2戦目以降が楽になるだろう。そういう意味でも初戦の戦い方が非常に重要になってくる。もしライオンズが初戦、ホークス投手陣の精神的疲労を誘って勝利することができれば、一気に2連勝できる勝算も出てくる。ファーストステージは2先勝だったため、とにかく勝つことが求められた。しかしファイナルステージは4先勝であるため、最大6試合を戦うことになる。つまり目の前の試合をただ勝てばいいということではなくなり、次の試合に繋がる勝ち方をしなければならない。

例えば延長12回まで戦って勝ったとしても、これでは勝った方にも大きな疲労が残ってしまう。それではホークスのホームアドバンテージを上回ることは出来ない。ライオンズがファイナルステージを勝ち抜くためには、初戦でホークスのブルペン陣をフル稼働させ、逆にライオンズは先発を含めて投手は多くても3人程度で済むような勝ち方が求められる。初戦、このような内容で勝利することができれば、ファイナルステージでもライオンズは一気に日本シリーズへの進出を決めることができるだろう。