昨日、オランダが「ラストワールドカップ」を制した意義について綴った記事には、多くのアクセスを頂くことができました。ブログの元記事だけでなく、Baseball Journalに転載されたバージョンも、おかげさまで過去最高となる、アクセスランキング総合3位にランクインされました。本当にありがとうございます。

 今回、この結果に大きく沸いたのは、なにも優勝したオランダだけじゃない。Twitterでは、アメリカの野球ファンたちからの、オランダの偉業を祝福するツイートが、今も溢れ続けている(ちょうどこれから始まるワールドシリーズに引っ掛けて「今年の世界一はレンジャーズ?カージナルス?いや、オランダだ!!」とおどける内容もちらほら)。もちろん日本のファンの間でも、このニュースは大きな驚きと感動を以て迎えられた。当然こちらでも、その偉業を称えるツイートが多かったことも言うまでもない。

 オランダはこの2年の間に、2つの大きな国際大会でサプライズを起こしてみせた。2年前のWBCでの、「サンファンの奇跡」と言われた対ドミニカ 2連勝。そして、絶対王者キューバを破ってのW杯制覇(奇しくも、こちらも優勝候補相手に2連勝を飾っての偉業なので、キャッチフレーズ好きなマスコミ風に呼ぶなら「パナマの歓喜」とでも言ったところか)。2009年当時も、そして今回も、彼らのプレーは世界中の野球ファンに、大きな感動を与えてくれた。「野球が決してビジネスとして大きくはない、ヨーロッパの国が強豪相手に勝つなんて」という、自分の常識を覆すような衝撃が、その背後には間違いなくあるだろう。

 しかし世界王者となった今、今後オランダが仮に、大規模な大会において好成績を残したとしても、この2回ほどの驚きと衝撃を、自分たちファンに与えてくれることはないように思う。もちろん、例えばWBCで優勝したりした時、彼らには祝福とリスペクトが向けられないという意味じゃない。フルメンバーのキューバ相手に、2度にわたって実力で勝利し、栄冠をつかみ取った彼らは、今や未知なる新勢力などではなく、国際球界をリードする一流の強豪国の1つとして、正当に評価されるべき対象となったということなんだ。

 でもだからと言って、彼らの後にはもう、新しい勢力が出てこないということでもない。むしろその逆で、オランダの後にもまだまだ、これから後に続かんという国はたくさんある。彼らが今回のように大きく成長を遂げ、大きな大会で結果を残すようになれば、再び国際球界にはサプライズという、新しい新鮮な風が吹き込まれることになる。そうやって、どんどん一線級で戦える国が増え、各国が最高の次元で切磋琢磨できるような環境が生まれれば、それは野球というスポーツの魅力を、ある一面においてさらに高めることにもなるんだ。

 では、今後新たに台頭してくる国は、いったいどこなのか?オランダに続き、野球の国際的勢力図に割って入ろうとする、猛者たちの顔ぶれとは?国際野球をさらに面白くしてくれるであろう注目株を、今回は独断と偏見に基づき、地域ごとに紹介したいと思います。

・ヨーロッパ

(1)イタリア

 ともにヨーロッパ2強の座をなす、オランダにとっての永遠のライバルであり、おそらく今回の一報に、一番闘志を燃やしているであろう国。ヨーロッパ最高峰リーグであるIBLを擁し、日本のプロ二軍クラス相手であれば、完封勝ちできるだけの力は持っている。ツーシーム信奉が根強い国で、しっかり打たせて取れるだけの投球術は各投手とも持っているので、後は守備がどれだけこの長所と連携できるか。アレックス・リッディ(マリナーズ)に続く、ネイティブイタリアンのスター選手も増えてほしいところ。