「ウィンドウズ8」とXboxが合体する? マイクロソフト「仰天プラン」の真実味
米マイクロソフト(MS)のゲーム機「Xbox360」が、同社の基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」の次期バージョンに組み込まれるのではないか、との話題が注目を集めている。
仮に本当であれば、OSで圧倒的シェアを誇るMSが、ゲーム分野のライバルであるソニー・コンピュータエンタテインメントの「プレイステーション3(PS3)」や任天堂の「Wii」を一気に引き離す可能性が出てくる。実現性はあるのだろうか。
パソコンに組み込まれるとゲーム機が不要になる?
MSは2011年6月1日、開発中の「ウィンドウズ8」の概要を映像で公開した。画面上にアイコンを表示していた従来のウィンドウズと違い、一つ一つのメニューが大き目の長方形をした「タイル式」インターフェイスに変更。画面に触れて操作できるような仕組みで、キーボードも画面をタッチして使えるようになっている。さながらスマートフォンのOSのようだ。
このウィンドウズ8に、ゲーム機「Xbox360」の機能を取り入れる動きがあると、米ネットメディア「Teknylate」が7月5日に報じた。「パソコン(PC)でXbox360のゲームを楽しめるようになる」「ゲームソフトを(PCの)DVDプレーヤーに挿入するだけでよい」というのだ。
実は5月にも別のテクノロジー系メディアが同様の話題を伝えた。「関係筋」の話として、PC版Xbox360は会員制にして、有料でオンラインゲームを配信するだろうと説明した。だがいずれの報道も、具体的な裏付けに乏しく憶測が先行している。
ウィンドウズとXbox360が「合体」すれば、利用者はPC上で「ゲーム機」を起動し、ソフトを呼び出して遊べるようになる。インターネットに接続してオンラインゲームも楽しんだり、新しくソフトをダウンロードしたりも可能だ。こうなれば、現在販売されているゲーム機本体は必要なくなるだろう。
据え置き型ゲームは現在、Xbox360とソニー・コンピュータエンタテインメントのPS3、任天堂のWiiがシェア争いを繰り広げる。北米ではXbox360が優勢で、米NPDグループの調査によれば2011年5月の月間販売台数はXbox360が前年同月比39%増の27万台で、PS3とWiiを上回った。だが欧州では事情が異なり、2010年の販売台数はPS3がXbox360より100万台多かったとの調査報告もある。
ハードウエアの処理能力「追いつかない」のでは
もしウィンドウズにXbox360が搭載されれば、流れは一気にMSに傾きそうだ。MSの2011年7月11日の発表によると、現在主力OSの「ウィンドウズ7」はこれまでに世界中で4億本を売り上げた。これは世界中のPCで使われるOSの27.13%に当たるという。「ウィンドウズXP」や「ウィンドウズビスタ」を合わせれば、割合はさらにアップする。これらがすべてウィンドウズ8に切り替わるわけではないだろうが、億単位で売れるOSすべてにXbox360が組み入れられると、利用者のすそ野が拡大する可能性はある。
しかし現時点では不確定要素が多い。ウィンドウズ8の発売日は2012年にずれこむとの見方が複数出ているが、MSから正式な発表は出ていない。また技術的にも、ウィンドウズ8を搭載したPCでXbox360のゲームを動かすにはまだハードウエアの処理能力が追いつかないのではないか、との指摘がある。
スマートフォン人気の高まりや、米アップルのタブレット型端末「iPad」の出現でPCの出荷台数が伸び悩み、OSで圧倒的な地位を築いていたMSも近年は陰りが出てきた。肝心のスマートフォン市場やタブレットPCでは、アップルに加えて米グーグルのOS「アンドロイド」の後塵を拝している。ウィンドウズとXboxを合体させるという「離れ業」で、ゲーム分野だけでなく各種端末のOSでもMS独占時代の再来を実現するには、乗り越えなければならない壁は高そうだ。
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