フィリピンのデル・ロサリオ外相は8日、領有権をめぐって対立している南シナ海問題について協議するため中国を訪問した。しかし、フィリピン国内では中国への反感がまだ収まっていない。ある在米フィリピン人組織はこのほど、史上空前規模の反中国デモを行うとして、世界各地のフィリピン人に参加を呼びかけた。人民網などが伝えた。

  フィリピン外務省は6日、デル・ロサリオ外相の今回の訪中について、中国側と南シナ海問題を含む多くの内容について協議することが目的だとし、「良好なコミュニケーションを保ち、合意できる分野を探そうと努力する」と発表した。

  しかしフィリピン国内では、中国に反発する一部の主張が注目を集めている。アキノ3世大統領はこのほど、外務省設立113周年の祝賀イベントの席で、「フィリピンの前政権が中国・ベトナムと『南シナ海3者合同地震探査協議(JMSU)』に調印していなければ、南シナ海の情勢がこれほど緊張することはなかった」と発言した。

  さらに、フィリピン大統領府の報道官は6日、「2005年にフィリピンが中国・ベトナムと調印した『南シナ海3者合同地震探査協議(JMSU)』が、Reed Bank(中国語名:礼楽灘)などフィリピン領土について中国が主権を主張する口実を与えた」として、アロヨ前政権を批判。「それまでReed Bankがフィリピンに属していることについて誰も異議を唱えなかったのに、JMSUの協議範囲に含まれたことで、Reed Bankが紛争地域だと認めてしまったようなものだ」と述べた。

 一方、在米フィリピン人団体の「The U.S.Pinoys for Good Governance」は、“中国が石油資源を狙って南シナ海に侵入”していることに抗議するとして、8日に米国、カナダ、オーストラリア、フィリピンの中国大使館前でデモを実施すると発表。海外のフィリピン人に対して、世界規模の反中国活動を呼びかけた。(編集担当:中岡秀雄)



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