夏の全国大会に向けた予選が佳境である。
クラブユース選手権U-18はＪビレッジ開催だった。
しかし今年は原発事故の影響で９７年以来の会場移転。
群馬県の前橋周辺で大会が開催される。

２次予選の出場チーム総数は２４。
関東は今年も「９枠」だ。
６チームが４組に分かれて戦う。
各組の２位以内は全国確定だ。
順位決定戦はあるけど重みはない。
各組３位が最後の一枠を賭けて「９決」に進む。
見ている側は面白いけど…。
当事者には辛く苦しいトーナメントである。

C組は「３強の争い」が熾烈だ。
計５戦の勝点、得失点で順位が付く。
養和は２勝１分で勝点７。
川崎が２勝１敗で勝点６。
先に４試合目を終えた鹿島が３勝１分の勝点１０だ。
今日は養和と川崎の直接対決を見る。
会場が近所の巣鴨で、キックオフは１９時。
ちょうど掛け持ちできるし、川崎を見ておきたかった。
ようやくナイター照明を使えるようになったんですね。
人工芝が新しくなり、客席には簡単な屋根も付いた。

養和はプレミアイーストに参加している。
川崎はプリンス関東２部B。
４試合を終えて１勝２分１敗という成績だ。

三菱養和SCユース
ＧＫ １８ 永井堅梧　 94.11.06 181/68 三菱養和巣鴨
ＤＦ 　７ 田鍋陵太　 93.04.10 177/66 三菱養和巣鴨
　　　 ５ 冨田将司　 93.07.14 180/68 三菱養和巣鴨
　　　 ４ 安藤裕麻　 93.07.27 179/71 三菱養和調布
　　　 ２ 川田正人　 93.08.23 168/59 三菱養和巣鴨
ＭＦ １４ 清水貴明　 94.11.19 165/55 三菱養和巣鴨
　　 １１ 川上亮祐　 93.05.25 167/57 三菱養和巣鴨
　　　 ８ 北出雄星　 93.11.26 165/55 三菱養和巣鴨
　　 １０ 川崎圭亮　 94.02.15 175/63 三菱養和調布
　　 １７ 横田修平　 93.12.22 　　　 三菱養和巣鴨
ＦＷ ２２ 木村陸人　 95.06.14 175/70 府ロク

−−−−−−−木村−−−−−−−
−-横田-−川崎−−北出−-川上-−
−−−−−−−清水−−−−−−−
−川田−−安藤−−冨田−−田鍋−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−永井−−−−−−−

川崎フロンターレU-１８
ＧＫ １６ 飯田和幸　 93.05.25 177/69 川崎U-15
ＤＦ １２ 宮近浩之　 93.08.30 169/64 川崎U-15
　　　 ４ 太田賢吾　 95.11.16 177/62 川崎U-15
　　 ２８ 坂口正高　 95.04.17 174/63 川崎U-15
　　 １４ 早見元太　 93.10.13 168/62 川崎U-15
ＭＦ １３ 高田一輝　 94.04.27 175/69 シュートJr･Y
　　　 ７ 小口大貴　 94.07.28 164/59 川崎U-15
　　 ２２ 伊藤大夢　 94.06.01 173/64 川崎U-15
　　 ２９ 相馬健一朗 95.01.11 170/64 川崎U-15
ＦＷ　 ８ 大野宰　　 93.05.16 173/65 川崎U-15
　　　 ９ 古川頌久　 94.10.15 183/74 エスペランサ

−−−−古川−−−−大野−−−−
−−相馬−−−−−−−−伊藤−−
−−−−−小口−−高田−−−−−
−早見−−坂口−−大田−−宮近−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−飯田−−−−−−−

養和はU-19代表の田鍋陵太を右SBで起用している。
パワーとスピード、キック力に優れた選手だ。
将来的にはこのポジションもありかな？

立ち上がりから「えっ？」と思った。
お互いに前線へ大きく蹴り込んでくる。
特に川崎はハイテンション、ハイテンポ。
キック&ラッシュで「ガツガツ前に出る」サッカーだ。

２３分、川崎は早見元太が敵陣左サイドでフォアチェック。
田鍋陵太のワンツーパスに踏み込んで奪う。
早見は縦に切れ込んで中へ叩く。
最後は大野宰が流し込んだ。
＜川崎フロンターレＵ-１８ １-０ 三菱養和SCユース＞

立ち上がりの川崎を見て「２０分までだろう」と思った。
ああいうサッカーは体力的に消耗するからだ。
しかし川崎は２０分を過ぎてから先制。
その後も互角以上に試合を運ぶ。
川崎はどうもおかしなことになっている（笑）
ピッチ内はもちろん、「ピッチ外」が熱い。
リザーブ、試合に出ない控え選手がピッチ脇で声を出す。
プレーにいちいち反応して盛り上げる。
養和が気合負けしているのを初めて見た！
Ｊユースの「部活化」が進む昨今だけど、
１年でこれだけ劇的に変わるもんかな？

川崎の攻撃はシンプルで早い。
古川頌久は高さと機動力を兼備している。
彼がボールをよく追い、競って、生かしていた。
ボールを落ち着かせる選手は高田一輝くらい。
ただスピードを生かして「抜け出せる」選手が揃っている。
伊藤大夢、早見元太の突進は凄かった。
最終ラインも「１年生ＣＢコンビ」が競り負けない。
太田賢吾は１７７ｃｍの登録よりもう少し背がありそう。
木村陸人に互角以上のコンタクトを見せていた。

養和はハイプレスに押されてボールを繋げない。
前線に蹴ると競り負ける。
何よりセカンドボールの争奪で劣勢。
「らしさ」を全く出せない前半戦だった。

４１分、養和は横田修平が前線でヒールパス。
木村陸人がエリア内に抜け出そうとする。
川崎は太田賢吾がファウルで止めて警告。

４３分、養和のＦＫはゴール正面。距離が約２０ｍ。
冨田将司が右足で狙ったキックは壁の脇を抜けてゴールイン。
＜三菱養和SCユース １−１ 川崎フロンターレＵ-１８＞

養和が追いついてハーフタイム。
川崎はベンチ外の選手、スタッフも含めて大円陣を組む。
大声でシャウトして気合を入れていた。

試合は後半。
４５分、養和は横田修平→横山道一。
田鍋陵太を前線に上げた。
布陣がこうなる↓
−−−−木村−−−−田鍋−−−−
−−北出−−−川崎−−−川上−−
−−−−−−−清水−−−−−−−
−川田−−安藤−−冨田−−横山−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−永井−−−−−−−

６２分、養和は川上亮祐→島田雄平。
６７分、養和は川崎圭亮→秋本和希。

６９分、川崎は古川頌久→三好康児。
三好は１９９７年３月２６日生まれ！
早生まれの中学３年生である。
１６４ｃｍとまだ小柄だけど、左足のキックが面白かった。

終盤は養和がやや優勢。
ただ川崎も足が思ったほど止まらなかった。

７０分、養和は木村陸人が左サイドから右足で折り返す。
田鍋陵太がファーでヘッドを合わせて決定的だった。
しかし右ポストに弾かれる。

７３分、川崎は小口大貴に警告。清水貴明の突破を止めた。

７６分、川崎は大野宰→平敷兼。

７９分、養和は右からスローイン。
木村陸人がヘッドに競り勝つ。
秋本和希はセカンドボールをシュート。
ＧＫ飯田和幸がブロックする。
養和は田鍋陵太がこぼれ球に詰めたけどＤＦブロック。
どちらも決定的だった。

８３分、川崎は三好康児が左サイドから折り返す。
ボールがグニョーンと曲がってファーに流れる。
太田賢吾は右から折り返す。
坂口正高のヘッドは決定的だったけど枠外。

８３分、養和は木村陸人→山下由都。
養和の最終布陣がこう↓
−−−−山下−−−−田鍋−−−−
−−北出−−−秋元−−−島田−−
−−−−−−−清水−−−−−−−
−川田−−安藤−−冨田−−横山−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−永井−−−−−−−

８７分、川崎は伊藤大夢→内田元輝。
川崎の最終布陣がこう↓
−−−−相馬−−−−三好−−−−
−−平敷−−−−−−−−内田−−
−−−−−小口−−高田−−−−−
−早見−−坂口−−大田−−宮近−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−飯田−−−−−−−

アディショナルタイムは３分。

９１分、養和は右サイドのＦＫを田鍋陵太が入れる。
それまでライナーを蹴り続けていた。
でもここは巻いて落ちるキックが枠を捉える。
川崎ＤＦが辛うじて外にクリアした。

９２分、川崎は内田元輝に警告。
相手ＧＫと交錯したプレーがラフだった。

試合は１−１でタイムアップ。
１試合を残しての勝点は鹿島１０、養和８、川崎７。
最終節は鹿島と養和の直接対決が残っている
鹿島は引き分け以上なら２位以上確定だ。
しかし養和が勝つと「逆転首位」になる。
川崎の対戦相手はＦＣトリプレッタ。
得失点差的に勝ちさえすれば自力で２位以上が決まるはず。
Ｃ組の上位争いは更に混沌として参りました…。

川崎は今年初めて見たけど、インパクトが強かった。
育成年代は方法論より「情熱」に尽きる。
今までの川崎Ｕ-１８は何か中途半端でぬるかった。
蹴って走るサッカーが良いとは言わないけど、
何の軸もない状態よりはマシだ。

今日のマンオブザマッチは左ＳＢの早見元太だろう。
前半から決定的なインターセプトを連発。
更に奪ってからの切替、前進が早い。
躊躇のない、思い切りのある攻守が楽しかった。
スピードがあるし、競られても弾き返す強さがある。
「長友っぽさ」を感じました。



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