中国でアジア大会が始まったね。U−21日本代表は中国との初戦に3−0で勝利し、続くマレーシア戦にも勝って早々と決勝トーナメント進出を決めた。
中国戦は、尖閣諸島問題に端を発した日中関係の悪化により、緊迫した状況下で行われた。と、日本のメディアでは報じられている。日本のメディアは試合前から、この中国戦はかなり危険だ、というのを煽りまくっていたね。結局そうした心配は杞憂に終わったけど、日本のメディア的には何かが起こってくれたほうが?おいしかった?であろう。
  
僕も現地に行っていないので実際のところはわからないけど、現地がどういう状況であったのか、なかなか正確には伝わってこない。日本のマスコミの悪癖だよ。スタジアムを警備した警察官の数も、デモの多い中国にとってみればそれほど驚く数字じゃないのかもしれない。
 
とはいえ、選手たちにとってはやりがいのある試合だったに違いない。押し込まれる場面もあったが、カウンターでうまく3点取った。こうした勝利にはたくましさを感じる。決勝トーナメントでもどんどん勝ち進んでもらいたいね。
そう思う一方で、改めて言っておくべき問題もある。このチームの編成に関してだ。今回アジア大会に臨んでいるチームは、大学生が主体になっている。有力選手を出したくないJリーグの各クラブに譲歩する形で、しかたなく学生チームで臨んでいるというのが実態だ。つまり、まだ五輪を目指すチームはスタートしていないとも言える。
 
これの何が問題かというと、Jリーグはもともと、日本代表のサッカーを強くするために、という意図で生まれたものだ。しかし現在はこの意図が忘れられ、Jリーグとサッカー協会の関係が昔のように太いものではなくなっているのだ。
このバランスは非常に難しいところで、どちらかに振れすぎるのもそれはそれで問題だ。けれど、今回のアジア大会のようなことは、やはり看過できないね。個人の発掘には意味があるかもしれないが、五輪までを見据えたチーム強化という面では意味がないように思う。
 
何のためにJリーグがあるのか。もう一度立ち返って、サッカー協会とうまく連携関係を築いてもらいたいね。現在リーグ戦首位のグランパスに代表選手が一人しかいないというのは、笑えない冗談だよ。(了)