「日本代表新監督決定について」 vol.58
担当M(以下M):やっと日本代表監督が決まりました。イタリア人のザッケローニ監督です。
ラモス(以下R):ずいぶん遅くなってしまいましたね。本当はワールドカップ前に候補を選んでおいて、ワールドカップでの日本の戦いぶりや、できればその前のリーグ戦まで見てもらっておくべきでした。そしてワールドカップが終わってすぐに契約というのが一番よかったと思います。そうすれば新監督にもっと日本を早く理解してもらえたでしょう。
R:決定が遅れてしまったから、今年の強化試合の位置付けがあいまいになってしまいましたよね。これだったらもっとゆっくり考えるという手もあったと思います。今年の4試合はJリーグの監督に指揮を執らせてもよかった。日本にいる監督なら選手の特徴もわかっているし、短期間でチームを作りやすかったと思います。それを候補の監督に見てもらえば、日本を指揮するというイメージがわきやすかったはずです。
M:どうしてザッケローニ監督になったのか、監督としての資質はよくわかるのですが、逆に言えばなぜ他の監督ではいけなかったのか、わからない部分もありました。次回のワールドカップがブラジルで開催されることを考えると、日本で指導しているブラジル人監督、たとえばオズワルド・オリヴェイラ監督がなぜ選ばれなかったのか疑問が残ります。
R:オリヴェイラ監督はクラブワールドカップで優勝したという国際経験もありますからね。他にもいいブラジル人指導者が日本にいると思いますよ。柏のネルシーニョ監督は僕も現役時代に指導を受けていて、とても感銘を受けました。試合中に中盤の選手の位置を微調整するんです。そうすると試合の流れが変わりました。しかもそれが優勢になるだけじゃない。劣勢に追い込まれている試合を落ち着かせたり、うまく引き分けに持ち込ませたりするんです。
M:オシム監督をシーズン途中で代表監督に引き抜いて千葉を混乱させた2006年の失敗を教訓にしたのでしょうけど、今の状況なら今年の終わりまでほとんどチーム作りできないのだから、Jリーグの監督を選んだにしてもあまり影響はありませんでした。
R:そういう考えもあるでしょう。でも僕はザッケローニ監督がダメだと頭から言うつもりはありません。岡田監督の時、非常に悲観的な意見ばかりが出てしまったのを忘れてはいけないと思います。ただ、何かの具体的な目標を早く掲げて、それが達成できたかどうか今後確かめることは必要だと思います。だからまずは日本サッカー協会がその目標を発表してほしいですね。
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