テレビCMやめ携帯で販促 ロッテリアに次いでモスフードも
「モスバーガー」を展開するモスフードサービスが、全国規模のテレビCMを大幅に縮小させ、広告費を携帯電話のメールマガジンを中心に分配する方針を明らかにした。同社は携帯電話を通じた販売促進に「非常に手ごたえを感じている」としており、不特定多数が視聴するテレビCMより「広告価値」があるとの見方だ。業界でも「非常にドラスティックな方法」と驚きの声が上がるが、ロッテリアもテレビCMをやめてケータイを使った販促に力を入れるなど、販促の媒体として携帯電話の価値が高まっている。
コストがかからなく、かつアクセスが多い
モスフードサービスの桜田厚社長は2008年11月10日、同日開催された決算説明会後に、「全国規模のテレビCMをフェイドアウト(徐々になくしていく)させていく方針」であることを明らかにした。今後、これまで行ってきた全国規模のテレビCMを縮小させ、広告費を、各店舗や携帯電話での情報発信にシフトさせる。
同社によれば、08年3月から携帯電話向けのメールマガジンを開始した。会員数は130万人に上る。新商品の情報やクーポンなどを配信するというもので、同社広報IR室はJ-CASTニュースに対し、
「地域限定の情報を配信できるとともに、テレビCMと違って確実に登録者の手元に情報が届く」
と、携帯電話を利用した販促の利点を説明。「非常に手ごたえを感じている」と話している。
ロッテリアは、2003年ごろに起きた経営悪化もあって、いち早くテレビCMなどに広告費を割かない販促に転換した。一方で、メルマガ「ロッテリア通信」を展開し、キャンペーン情報、メルマガ会員限定クーポンなどを提供。携帯サイトでのクーポンなども展開している。ロッテリアの広報担当者は、
「紙に比べて、携帯電話でのクーポン・メニュー情報の発信はコストがかからなく、かつアクセスが多い。モバイルクーポンの利用は数年で、数十倍規模で増えており、メルマガでの顧客の囲い込みも期待できる。効率性から言っても、非常に優れた販促媒体だと考えている」
と話す。
マックも携帯電話のキャンペーンサイトを重視
ファストフード各社では、利用客に若い世代が多く、携帯電話を使った販促に力を入れ始めている。あるファストフード大手の社員は「テレビCMに比べて、販売促進の効率が高い。マス媒体を使ったテレビCMの顧客囲い込みは余力があるところがやるものになっている」と漏らす。効率化を迫られた企業が次々に広告費をテレビCMから携帯電話を中心とした販促にシフトさせていく、そんな事態も起こりそうだ。
日本マクドナルドも携帯電話のキャンペーンサイトを03年から開設。常設サイトとして、「トクするケータイサイト」を05年9月から開始し、会員数は約1000万人に上る。希望者にはメールマガジンを送付し、ユーザーはクーポンなどで、店頭で割引を受けられるといったサービスを充実させている。
同社広報担当者は、
「携帯電話の普及台数が1億台を超える時代。1つの媒体として、お客に一番近いデバイスに情報が届く」
といい、携帯電話を使った販促の魅力を認める。ただ、「広告宣伝の手法としてテレビCMを無くすといったことは、現時点ではない」としている。
日本ケンタッキー・フライド・チキンは、2006年3月からメルマガを開始。「販促の効果は得ている」としながらも、
「テレビCMの広告価値は大きいと考えているので、テレビCMと一緒にケータイも広告媒体として利用したいと考えている」
としている。
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