「天ぷら油」でも車は走る バイオディーゼル浸透中
廃油を原料とするバイオディーゼル燃料の利用が広がってきた。沖電気工業は社員食堂で使う食用油の廃油を、製品の配送用トラックの燃料に使うことで二酸化炭素(CO2)を削減。地球温暖化の防止にひと役買う。軽油で走るディーゼル車は、ガソリン車に比べて窒素酸化物など多くの有害物質を排出すると煙たがられてきたが、バイオディーゼル燃料を使えば、ガソリンよりも安く、かつ「地球にやさしい」走りができる。
給油の心配なく、安心して走れる
沖電気工業は、八王子事業所の社員食堂で揚げ物などに使い終わった食用油を燃料に再利用する試みをはじめた。食堂から出る廃油をバイオディーゼル燃料に精油し、商品輸送などの業務用トラックに使っている。
バイオディーゼル燃料が注目される背景には、これまで通り軽油も利用できることがある。「給油所がないために、長距離を走れない」といった心配がないのだ。
実用化に踏み切った沖電気は「問題なく、快調に走っています」と話す。
企業の社会的責任(CSR)の一環として森林育成に取り組む太陽生命は、バイオ燃料を使うバスを仕立てて、所有する栃木県那須塩原の森へ出かける。ガス欠の不安に、「満タンにすれば(東京から)那須までは往復できる」(広報部)と、燃費もそう悪くないと話す。乗り心地に変わりはなく、排気ガスはどことなく天ぷら油の香ばしいニオイが漂うそうだ。
1リットル110円程度、ガソリンより断然安い!
また、バイオディーゼル燃料は、新潟県上越市や長野県長野市、松本市、香川県善通寺市などが、学校給食で使った食用油の廃油などを公用車やゴミ収集車、給食センター車の燃料として利用している。実用化に向けては、自治体も積極的だ。
ディーゼル車の規制が厳しい東京都は、バイオディーゼル燃料の利用について、「いまのところバイオ燃料専用車ではなく、軽油を併用するタイプなので、都の環境確保条例の基準を満たした適合車でないと認められません」という。ただ、「(バイオ燃料を)利用できるかどうか、月1件くらいの問い合わせがありますね」と、関心の高さをうかがわせる。
バイオディーゼル燃料はCO2削減に貢献できる仕組みとして、じつは早くから注目されていた。京都市では、地球温暖化防止京都会議の開催以前の1997年から、廃食用油によるバイオ燃料を市内のゴミ収集車に使っていたし、2000年からは市バスの一部で利用、さらに04年6月には1日5000リットルのバイオ燃料を製造する京都南部クリーンセンターが稼働。現在、市バス(97台)はバイオ燃料20%、軽油80%の混合、ごみ収集車は170台すべてを100%バイオ燃料でまかなっている。
京都市によると、バイオディーゼル燃料は1リットルあたり110円程度。97年当初は軽油価格が65円で、バイオ燃料は85円だったが、いまでは軽油(160円台)よりも安い。もちろん、原油高騰で180円台に乗ったガソリンよりも断然安い。
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