「うちの会社って勝ち組企業なのかな?」

「田園都市線沿線のどのあたりにマンションを買えば勝ち組だろう?」

「思い切って、FXで勝ち組への最短ルートを走るか?」

 勝ち組幻想が社会に広がっている。グーグルで「勝ち組」を検索すれば353万件がヒット。Amazonのホームページで「成功」という言葉を含む書籍を検索したところ、6583件あることがわかった。

「自分が勝ち組に属しているかどうか」はそれだけ切実な問題なのだろう。一億総中流の時代が終わり、収入格差が広がる現代。成果主義の影響などもあり、社内でも、勝ち組社員と負け組社員の差は歴然とし始めている。

 ところが、誰もが認める勝ち組社員に限って、突如としてうつや自律神経失調症を発症することがある。明日、あなたを襲うかもしれない、サドンデス(突然死)ならぬ『サドンうつ症候群』。突然の心の病に倒れたという、谷本仁さん(仮名・47歳)のケースを紹介しよう。

「大便を垂らしながら会社に通っていたんですよ。朝一番の電車で」

 そう語る谷本さんは当時、大手警備保障会社の支店長を務めていた。

 都内の有名私立大学を卒業。入社翌年、米国大学院に企業留学した。会社がそうとうな期待をかけていることは、誰もが認めるところだった。自身も「将来は社長に」と決意を固めていたという。36歳にして全国でもトップ3に入る支店を背負い、彼はますます昇進への執念を燃やす。「ここを全国トップに育てれば、社長の椅子はぐっと近くなるはずだ」

 そこで着手したのは、いわゆるダメ社員のクビ切りである。

「部下たちにこう宣言しました。3回遅刻したらクビだぞ、と。そして遅刻や無断欠勤した人間を切っていきました。2年間で15名の部下を辞めさせました」


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