1年前、ベルリンでのドイツW杯決勝はPK戦で決着がついた。全員が決めたイタリア代表キッカーの一人であり、セリエA屈指のPKスペシャリスト、MFピルロ(ミラン)が11mのプレッシャーを克服する秘訣を公開した。

「何より必要なのは適切に集中すること。何も聞かず、誰の姿も目に入れない。ボールをネットに入れることだけを考える。

 キックの前にはあまり細かいことを考えず、本能にまかせる。助走は3、4歩にとどめる。GKの動きを読むためにキックインパクトの最後の瞬間まで見続ける。そしてどちらかのコーナーを狙ってできるだけ強く蹴る。もし読まれている、と感じたらコースを変える。

 どんなGKにもクセはある。とにかく、GKが最も防ぎにくいのは地面をはうようなシュートだ。GKの上を狙うシュートなど考えない方がいい。

 冷静であること。集中すること。そしてテクニック。これがよいPKキッカーであるために求められることだ。落ち着きをキープして、狙ったところに蹴れる状態でいること。練習でもそれを考えながらやるといい」

 冷静沈着で知られるピルロだが、感情を表に出さないだけで、実は熱いガッツを内に秘めている。
「PKキッカー指名は絶対に拒否したらいけない。蹴ることを拒否できる場面などサッカーには存在しないからだ。疲れを理由にPKを失敗することもあってはならないことだ」  
 ピルロがスペシャリストである所以、それはプレッシャーに憶さない、強いハートの持ち主であるということなのだろう。