「わいせつ」画像投稿サイト 次々閉鎖宣言のワケ
画像投稿型の掲示板サイト「画像ちゃんねる」の管理人が逮捕された。わいせつ画像を公開した、という容疑だが、これに合わせるように他の「わいせつ」画像投稿型の有名掲示板サイトも次々に閉鎖を宣言した。今後は携帯の投稿サイトにも動きが広がる可能性もある。
「VIPろだ」「がむしゃら」などが休業
神奈川県警は2007年5月23日、「画像ちゃんねる」を運営する「ティーネット」社長の三條場孝志容疑者(34)ら社員・アルバイト7人をわいせつ図画公然陳列の疑いで逮捕した。調べでは、三條場容疑者らは06年6月から07年2月21日のあいだ、「画像ちゃんねる」に投稿されたわいせつ画像を公開し、不特定多数に閲覧させた疑い。同容疑者は「わいせつ画像を投稿した人が悪い」などと容疑を否認しているという。
これにあわせるように、他の画像投稿型の掲示板サイトも次々閉鎖に追い込まれている模様だ。
有名画像投稿型掲示板サイト「VIPろだ」はトップ画面で「ごめんなさいなんかうpろだ運営で逮捕者が出たみたいなので詳細が分かるまで休業してみます」と宣言しており、一部の画像投稿機能を現在までに停止している模様だ。
「がむしゃら」も「画像掲示板がむしゃらを閉鎖いたします。維持できず、誠に申し訳ありません」と閉鎖を宣言。「カサマツ」も「ネタではなくて本当に閉鎖します」などと宣言している。
それぞれ、アダルト中心の画像投稿型の有名掲示板サイトだが、閉鎖を宣言しているほか、わいせつ画像の類も閲覧できない状態になっており、実質的な機能停止状態になっている。
「画像ちゃんねる」については、「『画像ちゃんねる』 わいせつ画像投稿で家宅捜査」で既に報じており、同サイト管理人は07年2月に家宅捜索された際に「何故そこまでするのか疑問」などとJ-CASTニュースに対し不満をあらわにしたほか、逮捕後も「わいせつ画像を投稿した人が悪い」と容疑を否認している。
これまで、画像投稿者についてはわいせつ図画公然陳列の疑いの「正犯」として逮捕されるケースが多く、「投稿した人が悪い」といった考え方は常態化してきた。しかし、今回の逮捕で、管理人も重く罪が問われることが分かり、掲示板管理者も次々と閉鎖を宣言するに至った、と見られる。
「もう事前承認制にするしかない」
しかし、ネット上のわいせつ画像の投稿などの事件に詳しい奥村徹弁護士は、「画像ちゃんねる」管理人の逮捕から同型サイトの「閉鎖連鎖」を「驚くことは何もない」と話す。というのも、画像投稿サイトについて児童ポルノ公然陳列罪が問われた事件で、問題の画像を放置していたサイト管理人が「正犯」として投稿者より重い罪が課された最高裁判例があったのだという(平成16年6月23日高裁判決が上告棄却で確定)。「これで状況が変わった」と奥村弁護士は指摘している。つまり、サイト管理人がわいせつ画像やポルノ画像の投稿を「放置」していても、投稿者より、重い罪が課せられる可能性が出てきたのである。
「捜査関係者はこの判例をみんな知っている。(この判例に)ビックリするのはサイト管理人と一部の弁護士だけです。(「悪いのは投稿者」などと)管理人はもう何を言っても無駄なんですよ」
しかも、この事件を担当したのは神奈川県警で、「画像ちゃんねる」管理人を逮捕したのも神奈川県警である。
「当然、県警もこの裁判の行方を見ていたでしょう。とすれば、『画像ちゃんねる』の管理人が逮捕されるのは時間の問題だったと思いますよ」
となれば、画像投稿型の掲示板も次々と閉鎖に追い込まれるのも十分頷ける。奥村弁護士は「もう事前承認制にするしかない」と指摘している。