スカイマークのホームページ。5,000円バーゲンを伝えている。

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   東京-札幌片道5,000円。ゴールデンウイーク(GW)から6月にかけてこんなバーゲン価格を設定しているのは、新規参入組の航空会社スカイマーク(東京)。あまりの「価格破壊」ぶりに「大丈夫なのか」と関係者から不安の声も上がる。

   「スカイバーゲン 4/28〜6/30のご搭乗分がなんと5,000円」。スカイマークのホームページの一番上にある「羽田−札幌線」をクリックすると、次にこんな表示が現れる。「発売日はご搭乗日の2カ月前から49日前まで」の限定付き。発売は、2007年2月末から始まっている。スカイマーク経営企画室によると、使用している170人クラスから300人クラスの航空機の内、何席分を5,000円で販売しているかは「明らかにしていない」。

午前中だけで全便完売する日も少なくない

   「すごい。衝撃の安さと思った」と発売当初を振り返るのは、東京-札幌線を就航するある航空会社の関係者。同路線を就航する、スカイマーク以外の3社の料金をみると、GW期間内でも日によって違いがあるが、1カ月前後の事前購入を使っても片道1万〜1万2,000円はかかる。

   スカイマークは、札幌線就航1周年を記念して今回のバーゲンを始めた。GW期間中は「繁忙期」の稼ぎ時として、料金をやや高めに設定する社もある中での大幅値切りに、スカイマークは「即日完売が続いています」という。搭乗日2カ月前の9時30分からの予約受付に対し「午前中だけで全便完売する日も少なくない」。5,000円が購入できなかった人がそのまま同社の予約をするなど「波及効果も出ている」と分析している。

   ちなみにこの時期の片道の通常料金(定価)は、日航全日空が3万700円。同じく新規参入組の北海道国際航空(エア・ドゥ)は、2万4800円で「道民割引」を使っても1万9,000円だ。スカイマークは1万7,800円でほかに比べると、通常料金も安い。

   こうした状況に、他3社は表向き「対抗措置は取っていない」と静観の構えだ。

業界全体への不信感につながるのが心配

   関係者が不安をもらすのは、「ライバル心」からだけではないようだ。2006年末には、スカイマークは、みすず監査法人から2006年9月中間期の半期報告書に「企業の継続性に関する注記を付された」ことを明らかにし、「資金状況を改善させ、疑義は解消する」との見込みを公表した。さらに2007年4月13日、国土交通省スカイマークに対し、整備作業の漏れなどに関して厳重注意をした。経営面と安全運行面から疑問符がつきつけられた格好だ。株価も低迷を続けている。

   スカイマーク経営企画室はJ-CASTニュースの取材に対し、国土交通省からの厳重注意について「ご批判の声と応援の声の両方を頂いております」とした上で「ご批判につきましては真摯に受け止め、安全第一で運行してまいります」。

   2ちゃんねるにはこの国土交通省からの厳重注意を報じるニュースを紹介するスレッドも立っている。同社が2007年2月に公表した当期通期の業績予想は、06年11月の中間決算発表時より悪化し、最終赤字が34億円ふえ54億円と苦戦している。ある航空会社関係者は「安全性は大丈夫なのか、と騒がれ始めると業界全体への不信感につながりかねない」といい、「とばっちり」を恐れている。