「ナンバー」は朝日の記事に「実情とまったく異なる」

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   スポーツ総合誌「ナンバー(Number)」(文藝春秋)で、同誌編集長の朝日新聞への怒りのコメントが綴られた。それは、2007年1月6日付(夕刊)朝日新聞「スポーツ総合誌 苦境」と題された記事について、「実情とはまったく異なる」と説明、朝日新聞に対して抗議する、というものだった。

   2007年1月18日に発売された「Number」670号では、1ページに渡って編集長・河野一郎氏のコメントを掲載。朝日新聞の該当する記事の写真まで入れて、

「相次いだスポーツ総合誌2誌の休・廃刊をもって、ナンバーも同様に苦戦しているかのような、実情とはまったく異なる報道が一部新聞でなされました」

   と朝日新聞の記事を「誤報」といわんばかりに批判した。

記者は他誌とは状況が全く異なることを理解していた?

   朝日新聞は、07年1月6日付けの夕刊1面で、「VS.(バーサス)」(光文社)の休刊、「SPORTS Yeah!(スポーツヤァ)」(角川書店)の廃刊を挙げ、2006年ドイツW杯における日本代表の敗退が痛手でスポーツ総合誌の売上が伸び悩んだとして、「スポーツ総合誌が冬の時代を迎えている」としている。そして、「根強い読者層を持つNumberも例外ではない」とした上で、文藝春秋常務の鈴木文彦氏の

「総合誌は冬の時代に入った。雑誌作りにスターは不可欠で、人間的に訴求力を持っていた中田の引退は大きい」

   というコメントを掲載した。

   「Number」ではこれに対し、06年度上半期が前年対比で実売部数が増加したことなどを具体的な数字を入れて朝日の記者に説明し、その記者から「Number」と廃・休刊した他誌とは状況が全く異なることを理解したという返答が実際にあったと説明。

「にもかかわらず、1月6日付け朝日新聞夕刊には、『スポーツ総合誌苦境』、老舗ナンバーも『苦戦気味』という活字が躍り、休・廃刊した他誌と同じように小誌も例外ではないと報道されました。取材に際して示したナンバーの堅調ぶりを示す数字は明記されず、コメントについても、あくまで一般論として述べた部分のみが掲載されました」

   と不満をあらわにした上に、

「取材に際してナンバーは、スポーツと同様、常にフェアであることを心がけています。フェアな精神があって初めて、自由闊達な報道が可能になると考えるからです。その意味でも、今回の記事は残念でなりません」

   と述べている。
   だとすると、「スポーツ総合誌苦境」という特集そのものが成立するのか、怪しくなってくる。

朝日、文春とも「個別の取材には応じない」

   さぞや怒り心頭なのだろうと思い、「Number」の河野編集長に取材を試みたのだが、帰ってきたのは意外な答えだった。

朝日新聞とやりとりをしている最中なので、他メディアの個別の取材には応じていない。あれは、読者から問い合わせがあって、読者への説明ということで、それ以上でも以下でもない」

   J-CASTニュースが「それは新たな争いが起こるのを避けたいからなのか」と訊ねても、「それには答えられない」という答えしか返ってこなかった。
   一方、朝日新聞にも「『Number』の指摘に対しての見解を訊きたい」と取材を試みたが、朝日新聞広報部は、「いま(文藝春秋と)話し合いをしていますから、それを第3者に言うことが適切かどうなのか検討させていただきたい」と言い、のちに

「この件につきましては、文藝春秋社と話し合いをしているところですので、回答は差し控えさせていただきます」

   と書面で「回答」してきただけ。双方とも「誤報だ」とも「誤報じゃない」とも主張しない「不思議」な対応に終始している。