iPhoneの操作を効率化する2つの「ショートカット」の技を紹介する(筆者撮影)

よく使う機能なのに、アイコンを何度もタップしなければ呼び出せなくて面倒……そんな悩みはないだろうか。例えば、いくつかセットしているアラームを祝日だけオフにしたいというときは、時計アプリを開き、1つずつ画面をタップしていかなければならない。寝る前だけ画面を暗くしたいときも、スライダーの微調整が意外と面倒だ。


この連載の一覧はこちら

そんな作業の手間を大幅に削減できる機能が、iOS 12で搭載された。1つが「Siriショートカット」、もう1つが「ショートカット」だ。名称は似ているが、前者はSiriから派生した機能で、iPhoneに内蔵される特定の機能やアプリの機能を、Siriでダイレクトに呼び出すもの。後者はアプリで追加できる機能で、さまざまな操作を自ら設定して自動化できるのが特徴だ。

近いことができるため名称も似ているが、前者は入門編、後者は応用編といったところで、機能自体も別々になっている。今回、この2つを使って、iPhoneの操作を効率化していく技を紹介する。

1. 音声で特定の機能を一発で呼び出す

iOS 12では、Siriショートカットと呼ばれる機能に対応した。もともとSiriでは、話しかけるだけで電話やメールなど、さまざまな機能を呼び出すことはできるが、Twitterのツイート画面を直接開いたり、LINEの無料通話機能を呼び出したりといったことはできなかった。これを手動で設定するのが、Siriショートカットだ。


「設定」→「Siriと検索」で「Siriショートカット」に音声を割り当てる(筆者撮影)

Siriショートカットを利用するには、まず特定の操作に対して音声コマンドを割り当てる必要がある。「設定」を開き、「Siriと検索」をタップしてこの設定を行っていこう。「Siriと検索」の画面を開くと、ショートカット候補が3つほど表示されているはずだ。これは、ユーザーがよく使う機能に基づいて提案されたものになる。

ここに必要なものがある場合は、それをタップ。そうでないときは、「すべてのショートカット」をタップして、設定したい動作を選択する。ただし、アプリによっては対応していないこともあるため、すべての動作を割り当てられるわけではない。また、Siriが学習していない操作を呼び出すこともできない点には注意したい。

Siriショートカットで利用したい機能をタップしたら、呼び出すための音声コマンドを吹き込む。例えば、Twitterで「新しいツイートを作成」の画面を呼び出したいときは、「新しいツイート」や「ツイートする」のような言葉を登録しておけばいいだろう。録音ボタンを押し、音声の録音が終わったら登録は完了だ。

あとは、Siriを呼び出し、先ほど登録した言葉を話しかけるだけでいい。画面のロックを解除してアプリのアイコンをタップし、新しいツイートを作成するためのボタンを押すよりも、スピーディに画面を呼び出せるはずだ。ただし、対応しているアプリが一部に限られるのはネック。Siriに話しかけなければならないので、屋外、とくに人がいる場所では使いづらい。より突っ込んだことをしたいときは、次に紹介するショートカットがオススメだ。

2. 多彩なショートカットを自作する

よりカスタマイズしたショートカットを作りたい人は、「ショートカット」アプリをApp Storeからダウンロードするといい。このアプリはアップル純正で、iOS 12の売りの1つだったが、OSそのものには組み込まれなかった。Siriショートカットよりも複雑な設定を組むことができる半面、作り込もうとするとプログラミングのような作業も必要になるため、あえて別アプリとして分けたままにしておいたのかもしれない。

ちなみに、このアプリはかつて「Workflow」と呼ばれていたものだが、アップルが買収したことで名前がショートカットに変わり、iOSのより深い部分まで設定できるようになった。


「ショートカット」アプリを使うと、さまざまなアクションを組み合わせて操作を自動化できる(筆者撮影)

ショートカットを使うと、さまざまな作業を自動化できる。これはアップルの開発者向け会議で紹介されていた使用例だが、帰宅時にプレイリストを選んで音楽をかけつつ、自宅までの経路でナビゲーションを行い、帰宅時刻を家族にiMessageで伝えるといったことが、Siriに話しかけるだけでまとめてできるようになる。

ただし、簡単に見えて、実は事前の準備が少々大変。プログラミングまではいかないが、コンピューターに命令を実行させるため、それに近い考え方で順々に作業を組んでいかなければならない。条件分けを使ったり、時間や場所、登録内容などで変動する要素を入れ込んだりする場合はかなり難しい。逆に1つの機能を呼び出すだけのようなショートカットなら、知識はなくても、簡単に使い始めることができる。それだけでもiPhoneの操作が効率的になるため、難しそうと構えず、とりあえずショートカットを適当に作ってみてもいいだろう。

ここでは、一例として、画面の明るさを最大の10分の1程度に落とすショートカットを作ってみよう。ショートカットアプリを立ち上げてから、「ショートカットを作成」をタップする。画面下に、アクションが表示されているので、検索に「明るさ」と入力。「明るさを設定」というアクションを選択する。

すると、ショートカットのアクションとして、「明るさを設定」が登録された。スライダーを左右に動かし、設定したい明るさを決定しよう。どの程度の明るさになるかは、ショートカットを実行してみればいい。画面上にある「▶」をタップして、明るさがどう変わるかを確認する。

次に、画面右上のスイッチのような形をしたアイコンをタップして、ショートカットの名前を変更する。標準では「名称未設定ショートカット1」になっているので、わかりやすいよう、「就寝時の明るさ」など、具体的な名前にしておくといい。あとは、「完了」を2回タップすると、ショートカットアプリを起動したときの画面に戻る。

ライブラリに先ほど作った「就寝時の明るさ」が加わっているので、これをタップしてみよう。画面の明るさが、先ほど設定した値に一発で切り替わるはずだ。スライダーで調整すると、毎回微妙に明るさが異なってしまううえに、操作がやや面倒。決まった明るさにしたいときは、こちらのほうが便利だ。

ほかにも、Wi-Fiをオフにしたり、音量を最小にしたり、iMessageでの帰宅連絡をワンタップでしたりと、単機能でも便利なショートカットはたくさんある。どのような機能が必要かを考え、試してみるところから始めてみるといいだろう。また、ショートカットアプリには、あらかじめアクションが組まれた「ギャラリー」が用意されており、これをダウンロードして利用することもできる。自分のライフスタイルに合いそうなものがあれば、この中から選択して利用してみるのも手だ。

3. 作ったショートカットをすぐに呼び出す

ショートカットを呼び出すために、わざわざアプリを起動するのは本末転倒。作ったショートカットは、サッと呼び出せるようにしておきたい。方法は複数ある。1つはアイコンを作成しておくというもの。アイコンがあれば、アプリと同じようにホーム画面でタップするだけで、その操作が完了する。


作ったショートカットは、Safari経由でホーム画面にアイコンとして置いておくことが可能だ(筆者撮影)

アイコンの作成は、ショートカットの名称をつける際に行う。先に挙げた手順でショートカットの名称を変更する際に、同じ画面にある「ホーム画面に追加」をタップすると、ショートカットがアイコンとしてホーム画面上に現れる。アイコンを決めると、Safariが起動するため、共有メニューを開き、下段から「ホーム画面に追加」をタップすればよい。

最初に紹介した、Siriショートカットに登録することも可能だ。これをやっておくと、音声で必要なショートカットを素早く呼び出すことができる。タップしたほうがいいシーンもあると思うので、上記のアイコン作成と合わせてやっておくといいだろう。手順はSiriショートカットの登録方法と同じ。ショートカットアプリで作成したショートカットがある場合、ここにその選択肢が表示される。

ホーム画面の左端にある、「ウィジェット」からショートカットを呼び出すことも可能だ。ウィジェット画面のいちばん下にある「編集」ボタンをタップし、「ウィジェットを追加」の欄にある「ショートカット」の横にある「+」ボタンをタップすれば準備は完了。ウィジェット内には複数のショートカットがまとめて表示されるため、必要な機能をサッと呼び出すためのランチャーとして使える。

以上のように設定が少々面倒でとっつきにくいところはあるが、Siriショートカットやショートカットを駆使すれば、ルーティーンとしてやっている作業を軽減できる。iPhoneの操作を素早く済ませたい人には、ぜひ試してほしい機能だ。