平成の終わり。元号の区切りは日本の国民にとって重要な節目であり、その時々を彩った出来事を振り返り時代の終わりを惜しむ。しかし、そんな平成の終わりにも、未だ昭和のカラーを色濃く残した炭酸飲料が販売されている。


スィートキッス

「あぁ〜、未知の味」というキャッチコピーがつけられた「スィートキッス」だ。80年代の空気を醸しだすFRANKFURTフォントのロゴにレモン色のバック。カタカナの「ノン カフェイン」も強烈だ。今でも販売されているレトロなジュースを24歳の若手である筆者がチャレンジしてみた。

未知の味はせつなかった

スィートキッスが世に放たれたのは1982年。この年の10月1日に世界初のCDプレーヤーが発売。また、大滝詠一さんの「A LONG VACATION」などのCDソフトも同時に販売開始となり、新しい時代の幕開けを感じさせる出来事があった。

また、花の82年組と評された小泉今日子さん、中森明菜さん、早見優さんらが相次いでデビュー。ほかにも忌野清志郎さんと坂本龍一さんによる「い・け・な・いルージュマジック」やザ・タイガースの「色つきの女でいてくれよ」がヒットを飛ばした。

そんな82年に発売されたのが今回紹介する「スィートキッス」だ。時代を感じるオシャレなフォントなど胸を締め付けられるようなロマンが溢れるデザインだ。


スィートキッス

飲み切った後のパッケージすらインテリアの一部になりそうだ。パッケージを眺めてばかりでも仕方ない。飲み物なのだから開封しないことには何も始まらない。


そそぐ様子

そそぐと黄色ののみものが姿を現した。どこかメローイエローにも似た雰囲気だ。匂いはほとんどない。

かなり明るい色のため少し身構えてしまうが、飲んでみると不思議。蜂蜜の優しい口当たりを最初に覚えた。炭酸のパンチとレモン系の酸味もあり爽やかさも少なからずある。

飲みやすさが印象に残るが、クセになって次の一口を自然と欲しがってしまう正に「あぁ〜、未知の味」といった具合だ。

ここであることに気づいた。商品名のスィートキッスは日本語だと「甘い接吻」―― そうか、女性経験がほぼない筆者はわからなかった。この味を甘いキッスと例えたというのか。何ということだ。そういえば何かで「キスはレモンの味」なんて胡散臭い台詞を聞いたことがあるが、多少はそれに近いということか畜生め。

醜い己の存在を憎みつつJタウンネット編集部の意見を聞いていこう。ちなみに、編集部内での認知度はゼロだった。

まずは京都大学出身のホープO記者、

「飲みやすい。割と普通の味です」

新婚さんということで筆者が密かにわら人形で呪っているN記者は、

「かき氷のシロップみたい」

と、それぞれ評した。確かに飲み終わった後の舌のべた付き砂糖の残留している感覚はどこかかき氷に近い。

続いてはシックな着こなしで数々の女を泣かせてきたS編集長。黄色の液体に戸惑いつつ、高評価だった。

「体に悪そうな味でいいね」

なるほど。情事に溺れるその様を「体に悪い」と例える。流石は編集長、コメントの深みが違う。

そして最後は編集部の山本昌との異名をとるM記者。若手が多い編集部内で唯一スィートキッス発売の歳を生きている。そんなM記者、スィートキッスは知らないとしつつ、

「普通に美味しいね」

と別企画で疲弊した顔に笑みがこぼれた。

パッケージのレトロさに目を奪われがちだが、味は本物。筆者はMEGAドン・キホーテ 蓮田店で購入したが、インターネット上の投稿を見ると様々な場所で販売されているようだ。見かけた際は手に取って時代の雰囲気と青春の味を楽しむのも良いかもしれない。

筆者に青春はなかった〜 チクショー!

(Jタウンネット編集部 大山雄也)