ゆず新曲に「美しい日本」「靖国の桜」 異色「政治的」歌詞...その真意は?
人気フォークデュオ・ゆずの新曲「ガイコクジンノトモダチ」の歌詞が、インターネット上で注目を集めている。
「美しい日本」「靖国の桜」――。このように、「政治的」とも捉えられるフレーズが頻出する歌詞に、「こういう思想の持ち主だったの?」などと困惑するユーザーが相次いでいるのだ。
明るい曲調で「国歌」や「国旗」歌う
話題の楽曲は、ゆずが2018年4月4日に発売した最新アルバム「BIG YELL」に収録されたもの。作詞、作曲はリーダーの北川悠仁さん(41)が担当している。
明るくシンプルなギターの伴奏に、ポップなメロディを乗せた軽快な一曲。歌舞伎をモチーフにしたような「ヨォ〜」という合いの手が曲中に入ったり、外国人女性の話し声が流れる場面があったりなど、全体としてコミカルな印象を受ける。
だが、こうした楽曲の歌詞の内容が、ネット上で議論を呼ぶことになった。右寄りの思想を感じさせるフレーズが頻出するとして、違和感を訴えるユーザーが続出したのだ。
「ガイコクジンノトモダチ」というタイトルの通り、歌詞は日本が大好きだという外国の友人を持った「僕」の心情を表現したもの。サビでは、日本に生まれ育ち、日々の生活を送っていることなどを歌った上で、
「なのに 国歌はこっそり唄わなくっちゃね」
「なのに 国旗はタンスの奥にしまいましょう」
といったフレーズを続けている。
さらに曲中には、「靖国の桜」というワードも登場。これは、メディアでは右、左などと騒いでいるが、外国人の友人と一緒に見た靖国の桜は綺麗だった――という文脈の中で使われている。
「思想的なイメージがないからビックリ」
こうした歌詞について、ツイッターやネット掲示板では、
「ゆずどうしちゃったん?あまりそういう思想的なイメージがないからビックリ」
「北川さんってそういう思想の持ち主だったのか」
「ゆずは一体どうしたの...。歌詞だけ見るとネトウヨって感じですけど」
といった困惑の声が続出。一方、「自分の主張を曲にのせるなんて別に普通」「皮肉なのでは」といった意見もみられる。
ジャーナリストの津田大介氏も4月9日未明のツイッターで、曲の歌詞を紹介しつつ、
「ゆずのニューアルバムに入っている『ガイコクジンノトモダチ』という曲の歌詞確かにパンチが効いてる。メロディは素朴なのがまたこう......これはベタでやってるんだよね?」
と反応。また、映画評論家の町山智浩氏も同日、「総理とご飯食べてないか」とツイートした上で、
「『国歌はこっそり歌わなくちゃ』なんて、どっかの国に占領されたレジスタンスか? 現実は、君が代に起立しない教師は減給されるのに」
と投稿していた。
北川さん「自分が大切だって思うことは、ちゃんと伝えたくて」
このように波紋を広げた「ガイコクジンノトモダチ」の歌詞について、当の北川さんは4月5日発売の雑誌「音楽と人」(18年5月号)に掲載されたインタビューで、
「文章にして読み上げるとかなり危険そうな内容も、ポップソングにしちゃえば、何だって歌にできるな、と思って書いてみたんだよね(中略)自分が大切だって思うことは、ちゃんと伝えたくて」
と説明している。また、インタビュアーから「かなり強い右寄りの思想を感じる」などと伝えられた北川さんは、
「危ないよね(笑)。でも音楽にすることでラッピングされちゃう部分をうまく使いたかった。あとこういう歌詞を唄うことで、みんながゆずに対して思ってることを壊したかったんだよ。それがいちばん大きいかな」
としていた。