双子の弟たちのために骨髄ドナーになった4歳兄(画像は『GoFundMe 2017年12月3日付「Hope for the Pownall/Demasi Family」』のスクリーンショット)

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移植のため、適合したドナーが現れるまで何年も待ち続ける患者は数多く存在する。しかし幸運にも、米ペンシルベニア州の一家は患者の家族の中に適合者がいた。このほど幼い双子の弟たちを助けるべく、真のスーパーヒーローとなったのは4歳の兄だった。米メディア『Philly.com』『Fox 5 NY』『PEOPLE.com』などが伝えている。

ペンシルベニア州フィラデルフィア南部に暮らすロビン・パウナルさん(31歳)とフィアンセのマイケル・デマーシさん(35歳)は、昨年10月14日に誕生した双子の男児サンティーノ君とジョバンニ君が原発性免疫不全症候群の「慢性肉芽腫症」を抱えていることを医師に告げられた。この疾患は切り傷などの些細な怪我からでも深刻な感染症を引き起こすと致命的になることから、重症者は早期に造血幹細胞移植が必要になるという。

ロビンさんとマイケルさんには4人の子供がいるが、長男ドミニク君(9歳)もこの疾患を持って生まれたそうだ。ドミニク君は1年間をフィラデルフィア子供病院で過ごしたが、外部ドナーからのさい帯血幹細胞移植を受けることができ、現在は元気に過ごしている。

1年間で50万人に1人、男児に多く発症しやすいとされているこの疾患は遺伝性とされ、母のロビンさんにその原因があることが検査で判明したが、ドミニク君の次に生まれたマイケルJr君(4歳)はこの疾患を持っていなかった。しかし予定外で妊娠した双子が2人とも長男と同じ疾患を抱えていたことを知り、ロビンさんとマイケルさんはドミニク君の例からその可能性があることを承知していたものの、やはり大きなショックを受けた。

地元の病院にて妊娠33週で誕生したサンティーノ君とジョバンニ君は、最初の5週間をNICU(新生児集中治療室)で過ごした。退院後はサンティーノ君が割礼から感染症を起こし、双子は揃ってドミニク君と同じくフィラデルフィア子供病院へ入院した。自宅で過ごしたのはわずか10日間ほどで、昨年11月からロビンさんは双子の子供たちに病院でつきっきりの生活を送っている。しかしわずかな感染が命を脅かすため、ロビンさんは病室でもマスクやガウンの着用は必須だ。

そのような中、双子たちの救いの神となったのが兄のマイケルJr君だった。病院側がマイケルJrと双子たちの骨髄の適合性を検査したところ幸運にもマッチし、3月8日にマイケルJr君の骨髄液がサンティーノ君とジョバンニ君に移植されることになった。移植が可能であることを両親から伝えられたマイケルJr君は、若干4歳であるにもかかわらず恐怖を一言も口にせず「弟たちを救ってあげたい」と伝えたという。

移植手術前の10日間は化学療法で双子の免疫を十分に抑制しなければならず、マイケルさんは手術における3人の息子たちへのリスクの大きさを心配していた。心身ともに疲弊していたロビンさんにとってもその思いは同じだったようだが手術は無事に成功。一家はマイケルJr君の勇気に大きく救われたようだ。

今も入院中の双子の付き添いで多忙なロビンさんに代わって、自宅ではマイケルさんがドミニク君とマイケルJr君の世話をしており、11年間連れ添ったカップルは仕事を辞めざるを得ない状況になっている。それゆえ寄付金サイト『GoFundMe』では2017年12月に親族がアカウントを設置し、双子たちの医療費の寄付を呼びかけている。また同サイトでは8日の移植手術が成功したこと、マイケルJr君と双子たちの経過が良好であることが更新された。このまま順調にいけば、双子は4週間〜6週間後には退院できるとのことだ。

このニュースを知った人からは、「すごく大変なことなのに、幼いのに偉いわ」「なんて勇気ある子供なんだ」といったマイケルJr君への称賛の声があがっている一方で、「でも、幼い4歳の子供がどうやって移植に同意するんだろう」「それにしても長男でその疾患があるとわかっているのに、リスクを承知でなぜまた妊娠するのか」「非道徳的な感じがする」といった声も寄せられている。

画像は『GoFundMe 2017年12月3日付「Hope for the Pownall/Demasi Family」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)