商店街でもひと際目立つ外観!/(C)KADOKAWA 撮影=奥西淳二

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1,000円前後でサクッと飲んで、次の店へ。そんなツウの飲み方でハシゴ酒ができる店が本牧にもある。新旧の代表のような2つの店を、実際に行ってみた。

【写真を見る】全部で15種程度がならび、タッパや弁当箱持参で10円引き/(C)KADOKAWA 撮影=奥西淳二

■ 貴重な昼飲みもできる酒店の角打ち「岩太屋 酒店」

「岩太屋」は1926(大正15)年から本牧にある酒店。「本牧にも今では古い店も少なくなった。うちと岩太屋さんくらいだよね。酒類の配達も少量から受けてくれるよ」と同じ商店街の古参「森山時計店」の森山諄一さんは語る。商店街のアーケードが連なる本牧通りでも老舗の店だ。

酒店がほかにないわけではないが、この酒店が繁盛するには秘密があった。その一つが、立ち飲みカウンターが併設された角打ちだ。え? ここに角打ちがあるの?入り口はどこに?とお思いかもしれないが…

本牧通りに面した店の横に、もう一つひっそりとした入り口が! いかにも角打ちな姿だ

シャッターが少し閉まっているので、入るには勇気がいるかもしれないが、そこは振り絞ってドアを開ける。

■ オーダー!この日のオススメは…?

この日は、「清酒しぼりたて 清酒霊國」1杯200ml (290円)がオススメ。「焼き鳥の缶詰」(190円)や、「サバ缶」(200円)などをアテにして、立ち飲みというスタイルだ。ちなみに、お酒は、+10円でお燗もできる。まだまだ冷える日もあるので、温まりたい時にいいかもしれない。

■ ジモト以外の人も吸い寄せられる

取材の日は「今日はじめて仕事で本牧に訪れて、フラッと立ち寄った」なんてサラリーマンもいた。帰りがけにサクッと一杯飲んで行こう、なんて時にも役立ちそう。だが、やはりそこは老舗。長くて3時間以上も立ち飲みする常連もいるとか。なかなかの猛者である。

長居したくなるのは、店主家族の人柄かも知れない。家族で切り盛りし、酒店のレジや立ち飲み客の相手は大女将が切り盛りしている。大女将と長く話し込む客もいた。

酒店だけあり、お酒の種類は全部で100種を超える。支払いはキャッシュオンで現金のみ。カードで、なんて支払いは野暮! サクッと飲みたい時、温まりたい時はこちらへ。

■ 17年オープンのフランス惣菜で1杯!「フランス惣菜 TOGATEUR」

さて、2軒目。「岩太屋 酒店」から本牧通りを元町方面へ向かう。左手に見えてくるのがフランス惣菜の店「フランス惣菜 TOGATEUR(トゥガトゥール)」だ。ここは、うって変わって今っぽい店構え。かわいらしい外観が目を引く。

古い一軒家を、DIY好きな店主が改装したのだという。なんだか、ここだけオシャレなヨーロッパの町のような雰囲気だ。

フランス惣菜、というと聞きなれない方もいるかもしれないが、デリと言えば伝わるだろうか。「キャロットラぺ」(220円/100g)や、「ビーツのサラダ」(500円/100g)など、あまり日本の食卓では見ない総菜が、ガラスケースを彩る。

こちらの店、もともとはミュージシャンだったという富樫夫妻が営む。店主の富樫善弥さんはフランスで料理の修業経験があり、その修業先がデリだった。本場のレシピで作った惣菜は、食材や調味料なども、できる限りフランスで実際に使われているものを使用する。ただ、野菜などはジモトの青果店から仕入れるため、日本人でも食べやすい味わいになるのだとか。前述のキャロットラぺも、「地元のおばあちゃんが毎日買いに来る」と言う。

■ さっそく一杯!

ココでは、イートインOK。「グラスワイン」は日替わりで600円! ちなみにソフトドリンクも置いているので、少し食べて帰りたい、なんて時にもいい。「キッシュ」は季節替わりで、480円〜。

デリをちょっとずつ味わえる、「前菜の盛り合わせ」(600円)。内容はおまかせの日替わりで、この日は(手前から時計回り)「キノコのマリネ」や、「魚介のタブレ」、「ピエモンテ風サラダ」。どれも気になる!

こぢんまりとした店内だが、その中にもセンスがあふれていた。ジモトにあったら毎日通いたくなる気さくな雰囲気だ。

と言うことで、1店舗1,000円程度で、狙わず「せんべろ」となったはしご酒だった。タイプの違う店が、おなじエリアに存在する下町でもある本牧。訪れる時は新旧の違いを比べてみるのもまた、ツウな楽しみ方ではないだろうか。

【取材・文/濱口真由美、撮影/宮川朋久、奥西淳二】(横浜ウォーカー)