「辞任するとは言ってない」 60年ぶりW杯予選敗退のイタリア、監督の衝撃発言に非難

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ヴェントゥーラ監督はスウェーデン戦後のインタビューを拒否して一度は“逃走”

 イタリア代表は現地時間13日のロシア・ワールドカップ(W杯)予選欧州プレーオフ第2戦でスウェーデンとスコアレスドローに終わり、2戦合計0-1で敗退。

 60年ぶりに本大会出場権を逃した。その“元凶”と強烈な批判を浴びているジャンピエロ・ヴェントゥーラ監督は、「辞任するとは言っていない」と“反論”し、物議を醸している。サッカー専門メディア「カルチョメルカート・コム」などが、記者会見の様子を報じた。

 アウェーでの初戦を0-1で終えたイタリア代表は、ACミランとインテルのホームスタジアムであるサン・シーロで逆転を懸けて第2戦に臨んだ。現地メディアは戦前から、現在イタリアの多くのクラブが採用して選手が慣れている4-3-3システムの導入を主張し、選手たちもそれを望んでいると報じてきた。しかし、ヴェントゥーラ監督は3-5-2システムを採用し、工夫のない“ゴリ押し”戦術でスウェーデンが堅く守るゴールに突撃した。

 結局、イタリアはゴールを割ることができずにスコアレスドロー。試合中にはMFダニエレ・デ・ロッシに出場の準備を命じたところ、デ・ロッシはベンチスタートだったナポリのエースFWロレンツォ・インシーニェを指差して出場拒否。結果的に代表引退ゲームになったデ・ロッシが、「引き分けではダメな試合で、FWを入れるべきだと言いたかった」と試合後に語るなど、ヴェントゥーラ監督の求心力は皆無だった。

 試合後、主将のGKジャンルイジ・ブッフォンが涙ながらに国営放送「RAI」のフラッシュインタビューに応じるのとは対照的に、ヴェントゥーラ監督は同局のインタビューを拒否して“逃走”する始末で、その責任感のなさと行動にも多くの批判が集まった。

退任の場合は違約金9000万円を要求か

 その後、試合終了からおよそ2時間が過ぎてから記者会見を開催。その間に現地メディアではヴェントゥーラ監督が辞任の意思を明らかにしたと報じていたが、69歳の老将は「これで辞任するのか?」という、半ば“確認の意味”を込めたような記者の質問に対して驚きの返答をしたという。

「私はまだ辞任するとは決めていない。まだ、連盟の会長と話していないからだ。会長と話し、どうするべきかを決める」

 サッカー強豪国イタリアを率いて、W杯出場権を逃したにもかかわらず、自らの意思で指揮官の座を退くことはしなかった。イタリアサッカー連盟は現地時間15日に会議を開き、去就について検討するとの声明を発表。W杯出場権を獲得する前に2020年まで契約を延長した同連盟のカルロ・タベッキオ会長に対する批判も痛烈なものがあり、「共倒れ」になる可能性は低くないと見られている。

 その上、ヴェントゥーラ監督は契約満了前の退任とあり、70万ユーロ(約9000万円)の違約金を要求するという、“銭ゲバ”ぶりを発揮していることも報じられている。辞任を申し出ない理由がそこにあると、「カルチョメルカート・コム」は厳しい批判を続けた。

 イタリア国民、選手たちから完全に背を向けられている老将の去就は、果たしてどのような結末を迎えるのだろうか。

【了】

フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images